ロンドン五輪の男子フルマラソンに出場する藤原新選手(30)。実力もさることながら営業手腕は確かで、多数のスポンサーも獲得し、活動に際してのお金の心配はすでになくなったようだ。資金不足に悩むアスリートもいる中で、藤原選手が一つの「理想像」となるかどうか注目を集めている。
■すでに5000万円以上を獲得?
つい半年ほど前は「無職ランナー」を公言していた藤原選手。それが、ニコニコ動画で1050万円を集めたことを皮切りに、ミキハウス、BMW、全日本空輸、カゴメなどの企業との契約を決めていった。
スポンサーから活動費用など、現在獲得している費用は「5000万円以上」(全国紙記者)とも言われている。また、所属という形を取っているミキハウス木村皓一社長が、五輪で金メダル獲得なら5000万円の報奨金を出すプランまで言及した。最高の結果なら、1億円を超えることになる。
「こういう活動の方法があるということが分かれば、これから出てくる有力選手が団体に所属せずに個人で戦うことができるようになります。今のところ、実業団や陸連は内心では、快くは思っていないでしょう」(前出記者)
所属できないために活動がままならない選手としては、活動資金を確保した上で、練習や試合に集中することができるという意味においては間違いなくプラスとなるだろう。これは日本の陸上界にとって、良いことなのだろうか。
国内で大会の運営にも関わる陸上関係者は、次のように話した。
■ハイリスクハイリターンな競技人生
「実業団の所属選手ということであれば、企業に残ることができます。最悪、けがをした時のことを考えれば、藤原選手のような活動の仕方では厳しいですね。ただ、今までになかった形の活動の仕方を実践してくれたことは、もっと喜んでもいいと思いますし、スポンサーもその可能性を見てみたい、ということがあると思います」
二つの可能性について言及しているが、まず、藤原選手に競技人生の保証はないということだ(ミキハウスとは1年契約)。実業団所属であれば、現役を引退しても、会社に残れば良い。また、けがをしても会社に残ることはできる。その権利を享受することはできないため、言わば「ハイリスクハイリターン」な選手生活ということになる。
また、手を挙げてくれるスポンサーの動向も景気によって左右されることは確か。ただ、近年は実業団も突然の廃部があったり、安泰ではない。
もうひとつは、こうした活動方法を取る選手が増えてくれば、競技人口のすそ野が広がる可能性もあるということ。これは、陸連サイドから見ても、むしろ歓迎すべきことなのではないか。
アマチュアスポーツも最高のリターンを得ることを目標とするのはこれまで通りだが、ローリスクな競技人生か、ハイリスクな競技人生のどちらも選ぶことができるようになるということだ。そのためにも、藤原選手には「腹いっぱい」
と言わずに奮起をしてもらいたい。
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