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 更新:2013年5月20日
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2012年07月20日(金)

「サイボーグ」化する老人、「姥捨山」と化した病院

90歳まで生きる日本人の割合は女性で46%(厚生労働省調べ)。2人に1人が90歳まで生きる計算だ。一方健康な日常を送ることが可能な期間を示す「健康寿命」は70歳程度であり、10年以上を介護や医療を受けることになる。医学の進歩で延命は可能になったが、終末期のライフプランニングが不可欠な時代になってきた。人間誰しもが通る終末期を如何にすれば幸せに迎える事が出来るのか。終末期医療の現状を通して、一医師が考える幸せな終末期の過ごし方、ひいては社会全体が進むべき方向をご紹介したい。    国立大学病院勤務医

 90歳まで生きる日本人の割合は女性で46%(厚生労働省調べ)。2人に1人が90歳まで生きる計算だ。一方健康な日常を送ることが可能な期間を示す「健康寿命」は70歳程度であり、10年以上を介護や医療を受けることになる。医学の進歩で延命は可能になったが、終末期のライフプランニングが不可欠な時代になってきた。人間誰しもが通る終末期を如何にすれば幸せに迎える事が出来るのか。終末期医療の現状を通して、一医師が考える幸せな終末期の過ごし方、ひいては社会全体が進むべき方向をご紹介したい。             国立大学病院勤務医

■1億総胃瘻の時代の幕開け? 中には年金狙いの延命も

 「あの時はこんな事になるなんて想定していませんでした」
 「咄嗟の出来事で後先の事を考える余裕なんてありませんでした」
 「今から思うと辛い思いをさせてしまったのではないかと」

 いずれも気管を切り開き、言葉を発する事さえ失った患者を抱えた家族から耳にする事の多いフレーズだ。

 動く事が出来ず2時間毎に身体の向きを変えてもらい、食べる事ができず胃にあけた穴(胃瘻)から栄養をとり、呼吸する事すらままならず喉に管を通す(気管切開)、そんな「サイボーグ化した」高齢者が日本には沢山いる。

 もちろん、健康に長生きする事は良い事に違いない。ただ果たしてこのように「生かされている」本人は本当に幸せであろうか。考えずにはいられない。

 「動けない、食べられない、でもまだ死ぬ気配がない」。筆者自身が在宅医療で訪問した時に実際に90代の女性が口にした言葉だ。今も忘れられずに脳裏に焼き付いて離れない。

 なかには医学の進歩を逆手にとり、全く見舞いにも来ない上に患者に苦痛を強いる延命を希望する家族も少ないながら存在する事も特記するに値する。

 「(より費用のかかる)老人ホームなどに転院するつもりはありません!」。年金よりも入院費が格段に安い事もあり年金目当ての延命を強いる家族がいるのが悲しいかな現実なのである。

■患者を無視してでも治療せざるを得ない事情

 このように患者/家族に苦痛を強いる事も多く、年金の半ば不正受給としても利用されている現在の終末期医療ではあるが、医療従事者側にも延命せざるを得ない事情がある。

 たとえ患者やその家族が苦痛を伴う医療に反対したとしても、医療の縮小は将来的に訴訟となるリスクが付きまとう。患者自身が意思疎通出来ない場合は尚更である。遠戚に至るまで親族全員の同意がなければなかなか医療の縮小を行う事は難しい。

 医療提供者側にとっても、医療を継続する事の方が遥かにリスクが少ないのが現実なのである。

 もちろん、病院経営の面から言っても医療を提供するに越したことはない。地方の病院には入院患者の平均年齢が90歳に達しているのではないかという病院も多数存在しており、病院と老人ホームを行き来させる終末期の医療行為が病院経営及び職員の生活の糧になっているのも事実である。

 「そうは言っても胃瘻を造らないと、自分が食べていけない」

 これが医師の間から漏れてくる本音だ。そして本人の意向とは関係なくいつ終わるともしれない「サイボーグ」としての日々がスタートする。

■寝たきりの介護費だけで数兆円 〜 医療・介護費 60兆円との試算も

 終末期医療を語る上で社会保障費の問題も避けては通れない。

 現在要介護認定者は500万にまで膨れ上がり、寝たきりに近い要介護4,5の患者さんだけでも50万人いるとされている。介護認定で要介護4・5だと介護保険で月30万円程度の介護が受けられるため、寝たきりの介護だけですでに年間1.5兆円かかっている計算となる。

 日本最大の企業であるトヨタが数年間かかって稼ぎ出す金額を毎年寝たきり高齢者の介護に費やしているのが日本の現状である。

 ちなみに厚生労働省の試算によると今後も数十年に渡って医療費は伸び続けるとされており、医療費介護費合わせて2025年には対GDP費 12%程度にまで増加するとも言われている。

 税金を全て投入しても足りない程の社会保障費。本当にこのような制度が維持可能なのか甚だ疑問である。

■あなたが望む終末期とは?

 ではどうすれば制度を維持しながらより人間らしい終末期を迎える事が出来るのであろうか。

 「死を恐れるのは人間の本能である。だが、死を恐れるよりも、死の準備のない事を恐れた方がいい。人はいつも死に直面している。それだけに生は尊い。そしてそれだけに、与えられている生命を最大に生かさなければならないのである。それを考えるのがすなわち死の準備である。そしてそれが生の準備となるのである」

 松下幸之助氏の「道をひらく」の一節である。

 いつかはくる自分の死と向き合い、限られた命の中で自分の使命を全うせよ。それでこそ生も充実する、といった事であろうか。

 自然の摂理を受け止め、健康な時期をより充実させる。そして不要な医療の縮小は、制度の維持、本当に救うべき命の救済に繋がる。

 まずは自分がどのような終末期を送りたいか、どのような人生を送りたいかを家族と話し合い共有する事から始めてはいかがだろうか。もちろん、延命措置をしてでも長生きしたいという結論も良いと思う。ただ自分の人生を見つめ直し、自分で決断する事。そうすれば自然と日々の生活にも光が差し込んでくるかもしれない。

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記事提供元
アブラハム・グループ・ホールディングス株式会社。2004年8月設立。資本金及び準備金 5億1,000万円。
株主:東京海上日動火災保険株式会社、創業者他

社会的影響力の高い<富裕層>のニーズに応えることで日本経済全体を活性化したいと願い、富裕層限定プライベートクラブ YUCASEE(ゆかし)を運営およびメディア事業を営んでいます。同時に、子会社であるアブラハム・プライベートバンク株式会社(関東財務局長(金商)第532号 社団法人日本証券投資顧問業協会)を通じて個人投資家向け投資助言業を営んでいます。

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