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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2009年7月15日(水)
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ゴールドマンの好調な四半期業績が発表されたのを受け「公的資金を受けた金融機関が好業績に踊るのはいかがなものか」と、去年高級売春騒ぎでNY知事を辞めたスピッツアー氏がテレビで声高にコメント、恥ずかしい事件で去りながらすぐに表に登場する逞しさには、ゴールドマンの収益力の強さ以上に驚かされました。

今晩はメジャーのオールスターゲームです。日本とは違い1戦だけのお祭りでダイナミックな試合を楽しみにしています。

どんな有名選手でも安穏とはできず生き馬の目を抜くプロ同士のせめぎあい、メジャーの生存競争は激しくベテラン選手でも結果を出せなければマイナーからの好調な若手に取って代わられるという激しい新陳代謝のシステムはビジネス界以上です。

このほど政府の自動車業界再生特別対策委員会を率いたラトナー氏が辞任、GMとクライスラーが破産法適用から脱却して、自動車産業問題が一段落したことを印象付けました。いわばメタボ状態だったGMが新旧に分離され公的資金で新陳代謝が実現されたわけですが、これから建て直しを実行し再上場を実現するまで遠い道のりです。

自動車部品業界はもっと大変です。自動車シートメーカー大手のリア社が破産法適用を申請、今朝のニュースでは工場前でピケを張っている労働者が報じられていました。約4280億円の負債を抱えて破産法適用を申請した同社ですが、自動車メーカー以上に部品メーカーの再生は困難を極め、労働者にも相当の犠牲が及ぶのは必至です。

16兆4000億円もの負債を抱えたGMには公的資金が注がれ、その数パーセントの負債の規模の部品メーカーは同じ破産法適用でも公的資金なしに自助努力が迫られるという事実に直面して、ピケラインにいる労働者としては、公的資金が用意されるかどうかの境目は何なのか?選ばれる者とそうでない者の境目は何なのか、その心中は複雑かもしれません。

去年9月の金融危機では、ウオールストリート各社のうちリーマンは破産法適用申請に追い込まれた一方、メリルリンチ、モルガンスタンレー、そしてゴールドマンは銀行化や合併などの救済策に恵まれましたが、結果的には総資産規模で約100兆円が分かれ目でした。リーマンはそのラインの約6割の規模で救命ボートには乗せてもらえませんでした。

今、総合金融会社のCIT社の動向が注目されています。一時は邦銀が大株主でもあった同社ですが、リーマンよりも一ケタ規模が小さく総資産は約7兆円で「システミックリスクがない小さい先を救う必要はない」という見方があります。一方CIT社は中小企業金融業者として101年もの長い歴史があり全国約95万社の中小企業顧客を有しており、預金保険の保証付き起債による資金調達ができない場合にはこれら顧客への信用供与ができなくなって、経済の草の根レベルに大きな影響が及ぶと主張しています。

競争経済の原則に則り破産法適用を含む処理となるのか、それとも景気刺激策第二弾の一環としての中小企業金融政策と位置付けてCITに公的資金が導入されるのか、中小企業金融の新陳代謝策の形を巡って、今後、財務省と預金保険がどのような対応を行うのか注目されるところです。



筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/


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