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金融危機1周年、去年の恐怖が蘇ることなく平穏に9月末を迎えられるかどうかあと数日になりました。去年の今頃のマンハッタンは本当に陰鬱な雰囲気でしたが、NYダウは9700ドル台、S&Pは1050ドル台を維持して今週は始まり、多くのアナリストの平均予想値を大きく越えているこの株価水準には、驚くばかりです。
金融マーケットだけではなく、ディーラーの在庫が相当減少したためGMが生産体制の拡大を発表するなど、消費市場の末端の在庫調整の進行による好循環も始まったようです。
潤沢な流動性を背景に、社債などのクレジット市場が活況を増し株式市場がこれに追随して上げてきたわけですが、今後気になるのが米国のIPOマーケットの動きです。
先週はナスダックで、中国のゲームメーカーが今年最大のIPOを行いました。時価総額で約3000億円規模の会社ですが、初日は約14%も値を落としました。一方、バッテリーメーカーのIPOもナスダックでありましたが、時価総額約1800億円規模のこの会社は、電気自動車関連の業績期待も高く取引初日で株価は50%上昇し、まずは成功裡の滑り出しでした。
ここで現時点での市場の環境要因を簡単に整理して見ましょう。
弱気な材料としては、「雇用状況はまだまだ悪く」「商業不動産市場の悪化など金融に悪影響を与える大きな混乱要因があり」「政策依存度高く、経済は脆弱」といった点があげられます。
一方、「ボラティリティーが大きく改善し市場暴落の恐怖は薄らぎ」「上げ相場が続き市場の雰囲気は改善し」「中長期投資として買い妙味ある水準」という明るい環境でもあります。
また、「投資家の現金ポジションは高く投資対象を求めている」というのが、基本的状況です。
このように今は、投資に向かえる材料が相対的に増え、投資の雰囲気(センチメント)が高まりつつあり、これを機に証券会社各社も、発行体にIPOを勧める動きを活発化させています。
業界では、現時点でのIPO仕掛り案件はおよそ1兆7千億円あると推計されています。これは昨年のこの頃の半分の水準ですが、SECにファイルされているIPO準備案件一覧を見たところ、約50件のうち、およそ4割が不動産ファンドや金融関係のIPO案件です。
これはどういうことでしょうか?
つまり、今のところ「借り換えなど財務上の資金需要の資本調達」という色彩のものが半分近くもあるようだ、ということです。
IPOの基本動機である「事業の成長資金確保」つまり、「ビジネスモデル、収益性、そして経営力に自信があり、株式公開によって財務的にも競争優位性を高めて成長して株主に応える」という経営としての成長意識を伴った本来のIPOがまだ少ないようだとみられます。
しかし、S&Pなどの基準指標に比較して従来から好運用対象としてみられているIPO投資を重視する投資家は多く、高いキャッシュポジションの分散投資の一環として、今後、IPO銘柄への期待が高まっていくことは間違いありません。
バブル期ピーク(ピーク時の公開仕掛り案件は約5兆円)ほどではないまでも、今後、事業会社による公開準備がさらに約1兆円程度積みあがるぐらいになれば、IPO市場は本格的に回り出すのかもしれません。
カーライルなど大手PEファンドなども、投資先のIPOを検討しているという話が増えてきました。今後、公開準備のペースがどれほど加速化されていくのか、次の四半期の動きに注目したいところです。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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