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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2009年10月7日(水)
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カレンダーもあと3枚となり、これから年末までハロウイン、サンクスギビング、クリスマスとイベントが続き足早に日々が過ぎ去っていきます。マーケットは企業の四半期業績発表待ちで模様眺めとはいえ、「ボーナスまでもうひと稼ぎ」と意気込んでいるトレーダーも多いのか、とりあえず週初は連騰し、NYダウは9700ドル台を維持しています。仕込もうと思っていると目の前で上がっていく、こんな相場についていくのは正直なかなか大変です。

そんな中、ひとつのニュースに驚かされました。金融危機の震源ともなった保険会社のAIGの再建を任されているトップの報酬金額が、政府から正式承認されたという発表です。

血税が投入されているためAIGトップの報酬は政府の承認が必要です。ニュースによると、正式に認められたAIGトップの報酬総額は、なんと9億4,000万円という巨額なもので、給与と成果報酬とのパッケージで、約7割が給与、残りが長期的な成果報酬だと報じられています。

あらためて言いますが、これは、政府支援中の会社として政府が審査を行い「適切だ」という公式のお墨付きが与えられた金額です。

このニュースは新聞で大きく取り上げられ、反論記事がトップページを飾るのかと思ったのですが、実はそうではありませんでした。夏頃に会社側の発表が報道されたこともあり、政府承認発表はニュース的価値なしということのようですが、この無関心さにも驚かされました。

米国のCEOの報酬としては必ずしも巨額ではない。また、投入されている公的資金を守り再建を着実に進める苦労を考えれば、9億円あまりという報酬は妥当だという判断のようです。

いうなれば、リリーフピッチャーには相当なプレッシャーがあるのだから、これを認めてしっかりと報酬を支払うべきだ、というメジャーリーグ的発想です。

ここまで持ち直してきたマーケットとは異なり、現実の経済では、戦後最悪の雇用減少が続いています。もはや、職探しを諦める人が増え、失業率は9.8%に上昇しています。また、このように職がない人の平均失業期間は26.2週間と、過去最悪の水準になっています。

厳しい社会の現実とセレブ然としたトップの報酬レベルとの乖離は広がるばかりです。

先月、出張でロスに泊まったときに、ビバリーヒルズのあるセレブ御用達のホテルをのぞいてみました。ちょうどエミー賞の頃だったこともあり、ストレッチのリムジンで乗りつけるセレブ達で溢れていました。しかし、そこから車で30分もかからないロスのダウンタウンに戻ると、ホームレスのダンボール宿がストリートに並び、荒んだ空気が流れていました。

アメリカ人の同僚に訊ねました。「庶民の味方のはずのオバマ大統領なのに、どうして、公的支援頼みのAIGでこんなことを認めるのか?」彼曰く、「だって、今や彼もセレブじゃないか」と。

ちょうど、彼のデスクの上の新聞には、オリンピック招致スピーチでお洒落をした大統領夫婦がほほ寄せて微笑んでいる写真が載っていました。

現実社会の厳しい不満が沸騰した時は怖いのではないか、その予感を少しずつ感じる毎日です。



筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/

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