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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2009年10月21日(水)
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米国企業業績の発表が相次いでいますが、アップルやキャタピラーの業績がアナリスト予想を上回る内容だったためニューヨークダウは小幅下げただけで大台の10,000ドルを維持しています。

去年の今頃は、まるで毎日がハロウインかとも思えるような恐怖で寝つけない毎日でした。それが今や大きく変わって、オバマ大統領のノーベル賞の是非の話やファーストレディーのファッション論議など、ある意味平和なニュースが記事になる暢気な雰囲気です。

さて、先日同僚と会食に行く機会があり、彼の車に乗せてもらいました。ビルの下で待っていると、そこに来たのはピカピカの新車のBMW M5。乗り込むと真新しいレザーの匂いで思わずむせてしまいました。

ボーナスの皮算用ができる頃になると、こういう買い物をする輩が多くなります。

その車の中でラジオのニューストークショーを聞いていると、ちょうどゴールドマンのボーナス引当金の話題が取り上げられていました。それによるとゴールドマンの9月までのボーナスプールは約1兆5,200億円で、社員一人当たりの単純平均ではおよそ5,000万円弱だということでした。1.5兆円、それは、NECと日立をまるごと両方買えるほどの巨額なものです。また、この調子で行けばボーナスプールは年内さらに積み上がっていきます。

ラジオでは、税務当局がこれを吸い上げて米国国民一人ひとりに均等に配付すべきだと、エキセントリックなコメントをしていましたが、金融危機以降の政府主導の支援劇が記憶にまだ新しい今、このニュースを聞いた多くの人々は複雑な思いを抱いたに違いありません。

一方、実際の経済はとても暗い状況です。年内には10%に達しようかという失業率、年金資産が大きく目減りして安い給料の仕事でも働き続けている年金世代の話、住宅ローンが払えずに家が差し押さえられてホームレスが増加していることなど、連日、新聞や雑誌には社会の悲惨な状況の記事があふれています。

世間のこのような厳しい現実と、金融プレーヤーのにわかバブルのボーナスプールの話との乖離はますます広がるばかりです。

日々の相場では上昇を支えるそれなりの材料やニュースはあるとはいえ、実際の経済のファンダメンタルズに確信を持てる強い材料が見られない以上、やはりこの上昇基調は、世界的な超緩和金融政策がもたらしている一種の蜃気楼なのではないか、というおそれが頭をよぎります。

早晩、経済の回復基調が本格化して虚像が実像を結ぶようになるのか、それとも、この蜃気楼が目の前から消え去ってしまうのか、未だに毎日、これを自問自答しています。

世界の中央銀行がいわゆる緩和政策の「出口論」を唱え始め過剰に供給している流動性を正常化させる「風」が吹き出した時、にわかバブルという蜃気楼も消え去ってしまうのかもしれません。

にわかバブルに踊っている多くの人々は、そのような風が吹くのは年明け以降になるように祈っていることでしょう。まずはボーナスを正夢にして新しい年を迎えたいと。



筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/

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