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空高く美しい秋晴れが続き、すがすがしい空気が冬の厳しさを予感させる日々になってきました。ハロウインは盛り上がらないまま終わり、スーパーでは連日お菓子の安売り処分です。この調子では月末のサンクスギビングも盛り上がらないのではないだろうと、小売関係者からは早くもあきらめの声さえ聞かれているようです。
フォードが好調な新車販売状況を発表するなど良い材料があった一方、ジョンソン・エンド・ジョンソンは後発医薬品販売の減収などから人員削減を発表するなど、強気一方になれない状況です。NYダウは、10,000ドルを超えたあと高値警戒感から9800ドルを下回っています。ボラティリティー指数や原油相場も乱高下しており、ここ当面、不安定な動きが続きそうです。
そんな中、あのバフェット氏のバークシャーハサウエーが、鉄道大手のバーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道を3兆円で買収することを発表しました。環境負荷が優しい鉄道は米国の経済インフラとしての高い期待が持てるという見方なのでしょう。
複線、複々線の高度でスマートな鉄道に慣れている日本人としては、単線を日に何度か機関車がゆっくりと駆けて行く鉄道には将来性など感じられないというのが実感ですが、バフェット氏として過去最大の投資を行うというのは相当の算段があるものだと考えるべきなのでしょう。
さて、インベストメントバンカーとして最近どんな状況なのか、と先日訊ねられました。
私は、企業買収、いわゆるM&Aマーケットの現場にいるのですが、最悪期の閉店状況は脱したものの、買い手投資家の動きはまだまだ停滞しています。企業業績が落ち込み投資家から資金導入したいという売り手側のニーズは高い一方、投資家サイドは成長シナリオが立たない現在のマクロ状況では買い動機が低く、模様眺めの状況が続いています。
バリュー創出型のファンドであれ、アクティビスト型の投資家であれ、過去数年のM&Aバブルを作り出した買い手は影を潜めています。今、唯一元気な投資マネーであるレッドチャイナマネーは、自動車産業の売却案件などには食指を動かしていますが、かつての日本のバブルマネーのように、何から何まで買い漁るような、浮き足立った買い出動は見られません。
米国のように成熟した経済社会では、M&Aは、経済活性の触媒としてとても高い機能を発揮してきました。社内の環境要因や外部環境の競合要因などから競争力を失った企業が、M&Aによる合従連衡や、外部投資家による経営戦略の刷新などで企業生命力を再強化する、こういったダイナミズムが米国経済を活性化してきました。
今年春以降株式相場の戻り基調を呼び水にしてM&Aが盛り上がってくることを期待していました。しかし、実際は、企業買収が再び大きく動き出すという感触はありません。残念ながら、このような現状では、私の稼業は「労多くして成果なし」という状況です。
株式市況とM&A市場の動きは自転車の両輪です。このチェーンが早くつながらないと、経済の回復スピードが落ちて早晩腰折れするのではないか、そう懸念している今日この頃です。
長年の実績を残し投資家の尊敬を集めているバフェット氏の動きが、M&A市場の眠りを覚ましてくれることを祈りたいと思っています。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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