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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2009年11月25日(水)
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サンクスギビングホリデーが目前となりましたが、NY株式市場は10,000ドルを上回り堅く推移しています。このままいけば、マーケット参加者は楽しい休暇を過ごせそうな雰囲気です。

このホリデーの週の金曜日はブラックフライデーと呼ばれ年末商戦の初日にあたります。ショッピングモールなどではセールが派手に行われ、買い物客で町は混雑します。全米小売業協会はこの週末の買い物客は4.7%増との予測を発表、活況となりそうですが、本当に消費が盛り上がるのかどうか、今後の景気を占う鍵でもあり、週末の人出に注目したいところです。

金融機関の不良債権問題は深刻化しています。米連邦預金保険公社の発表によると、9月末時点の国内の問題金融機関は552行にものぼり6月末の416行から3割も増えて1993年末以来、約16年ぶりの危険水準となっています。商業用不動産担保ローンの返済不履行など、今後、金融機関の資産が劣化するのは必至で、未だ金融業界は脆弱で本格的な回復からはほど遠い状況にあるのが現実のようです。

さて、先日、NYの日本商工会議所の年次総会の夕べがありました。今年25回目を迎えるこの催しでは、毎年、政財界の著名人、スポーツ選手、宇宙飛行士、あるいは草の根の文化交流人など、日米交流の発展に寄与した様々なゲストがスピーチを行ってきました。

今年は、日本人選手としてメジャーリーグに大きな功績を残した野茂英雄氏と、ハワイ州選出の上院議員で米国陸軍の英雄戦士でもあるダニエル・K・イノウエ氏が注目のスピーカーでした。残念ながら野茂氏は欠席でしたが、イノウエ議員のスピーチにはなかなかの重みがありました。

ハワイに育ち様々な苦労をしながらアメリカ人としてのアイデンティティーを磨いてきた経緯をたどりつつ、「義務と名誉(デューティー、アンド、オナー)」が生きていく上で大切な価値であると、同氏はスピーチの冒頭でまず強調しました。

イノウエ議員は、「日米両国は政権交代によって様々なチャレンジに面しているが、日米関係は最も重要な同盟関係であり、クリントン国務長官が始めての外遊先に日本を選び、オバマ大統領が最初に会った国家のトップは麻生首相であったという事実が、米国としての重要な認識を裏付けている」と指摘、「日本は米国の基本姿勢を見逃すことなくしっかりと受け止め、基地問題など、目先の政治的混乱に惑わされず絆を深めるべく外交行動をとるべきだ」と語りました。

また、「日本の主要産業が米国で競争力を高めてきたのに対し、米国の自動車産業は没落、今やデトロイトは26%もの失業率にあえいでいるという状況に心を痛めている」とも述べました。

イノウエ議員が指摘したように、オバマ政権が日本への外交的配慮を重視したことを日本のマスコミは取り上げていませんでした。米国が発しているサインに気づき今これに適切に対応することを怠れば、やがて日本に対する米国の姿勢が大きく変ってしまうことが心配です。

米国の経済、金融戦略上中国の重要性は益々高まっています。日米関係の外交的対応を間違え過去に築き上げた日米の信頼が一気に崩れ「日本はどうでも良い、大事なのは中国だ」と扱われた暁には、日本は地政学的に恐ろしい状況に直面することになります。過去の日米関係の経緯を踏まえ今や日本は自らの「義務と名誉」の重みをしっかりと考えるべき時ではないでしょうか。



筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/

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