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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2009年12月2日(水)
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感謝祭明けでドバイショックがマーケットを襲いましたが、米国株式市場への影響は微震にとどまり、NYダウは10,000ドルを上回って堅く推移しています。ドバイのバブル崩壊は金融危機の頃からの想定内のことでもあったため、ショックはこの程度で済んだものと思われます。

感謝祭開けの金曜日は年末商戦の初日で、この期間は小売業のキャッシュフローが黒字化することからブラックフライデーと呼ばれています。ネット商戦は感謝祭開けの月曜日がサイバーマンデーと称されていますが、どちらも昨年に比べて消費者の反応は良好だったようです。

ブラックフライデーにアウトレットモールで定点観測しましたが、周辺は渋滞、店のレジも列ができて客足は多かった一方、レジの客単価は高くないようでした。全米小売業連盟の発表によると、客単価は約3万円弱と前年比8%減とのことで、財布の紐はやはり固かったようです。これから年末まで、どこまで個人消費が伸びるか注目されるところですが、雇用改善の兆しがあまり見えていない状況では、基本的にはあまり期待できないものと思われます。

この時期、車の販売店では車両金額の値引き分をキャッシュバックするという販売方法が増えます。乗用車1台を月額リース料約2万5千円の36回払いで契約すると、新車納車時に20万円のチェックをもらえます。この現金でクリスマスの買い物ができるというわけでこの手のセールは人気です。しかし、車を1台買うともう1台もらえるといった乱暴な売り方はなくなり、昨年に比べると景気は少しずつ正常化に向かっています。

雇用改善は未だながらも正常化の感触がある米国経済に比べて、日本の元気のなさが気になります。民主党政権の方向感のなさ、円高、株安、大型倒産、そしてデフレ圧力など、いつまでも回復感がない日本は大丈夫かと、よく米人同僚から聞かれます。一方、米国では、中国の盛況ぶりをいつまで続くのかと不安視しながらも、頼もしく見ている向きが多くいます。

先日、中国の某大手銀行の支店長にお会いする機会があり、マンハッタンを見下ろす新築ビルの真新しい支店長室で、これからの米国での戦略展開をじっくりと聞かせてもらいました。上滑りな気負いは全くなく、自信に満ちて落ち着いた話ぶりでした。同氏の予定表は米人バンカーのアポで埋まっているといった千客万来ぶりで、中国への熱い期待を見せつけられました。

翻って日本では、日銀や東証などからは世界の耳目を集める金融戦略情報の発信はなく、産業界にも世界の牽引役となり得るパワーもないという元気のなさぶりで、これでは残念ながら、海外から「アジアではまずは日本だ」という熱い期待を抱いてもらえるような状況ではありません。

日本郵政問題といった内向き志向や、目先の円高への対処といった短期的な政策対応は、海外では全く報道されません。今、米国が注目していることは、日本の内需をどう根本的に喚起し、東京マーケット、日本経済の活力をどのようにして成長に導くのか、何を目指してどんな抜本的打ち手を実行するのか、というダイナミックな日本のグランドプランです。

この新構想を日本の外に向けて明確にいち早く発信することが緊喫の課題です。政権交代の混乱の流れに任せて、日米関係の重みをおろそかにし、日本としての斬新な情報発信ができないでいると、近い将来、日本は単に「米国から中国に向かう途中に単に上空を通過するだけの国」となってしまうのではないかと、そんな大きな心配を禁じ得ないのはひとり私だけでしょうか。



筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/


米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


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