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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2009年12月23日(水)
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米国東海岸は大寒波の来襲のおかげでホワイトクリスマスの雰囲気がますます盛り上がっています。休暇気分の中、マーケットも静かでNYダウは10,500ドル近辺で堅く推移しています。

上院議会では医療保険制度改革法案の審議打ち切り動議が可決され採決への道筋がつきました。オバマ大統領にとっては大きな懸案が最後の節目を迎え一段落です。この問題に関してワシントンでは、製薬、医療、保険などヘルスケア関連業界がより有利な条件を求めて必死にロビー活動を繰り広げたようです。今朝のBloomberg Newsは議会工作のために約350億円もの巨費が投じられたと報じました。日本の予算仕分けで話題のスパコン開発予算以上のすごい金額です。

今、日本でも診療報酬改定の議論が活発な議論を呼んでおり、ご存知のとおり財務省と厚労省のトップが、いわゆるプラス改定の是非を巡って激論を交わしています。日本とは異なり治療水準の向上を謳い文句に米国ではインフレ率以上に医療費が上昇していますが、この既得権を確保するためには、議会工作費用など厭わないというのが現実のようです。

病気で余命が短くそれが惜しければ金で買えばいい。もちろんはっきりとそう言う医者はいませんが、それが現実です。私の知人がガンで余命一年と宣告されましたが、その後二年経った今も幸い健在で最近仕事も再開しました。何度も医者を変え、ようやく彼の病質にあった化学療法を手に入れたようです。喜ばしいことですが十分な貯えがあってこそ手に入れられた幸せで、仮に私が同じ運命に遭った場合には、あえなく一年で終の時を迎えるしかないのだろうと思います。

さて、今年もあとわずか、今年を一語で表すと何でしょうか。日本で話題の今年の漢字は「新」だということですが、一英単語で今年を表す語として、私は「ケア(Care)」を選びました。

先に書いたとおり、オバマ大統領としてはヘルスケアが大きな課題でした。また、昨年秋の金融危機を乗り越えるため、世界の金融当局は金融業界を一刻も早く治癒(ケア)するべく大胆に動きました(残念ながら日銀は日本経済をデフレに陥れ、さらに深刻化していますが)。株式市場も十分癒され、米国自動車業界も大きなケア策によって、最悪の状態からは回復しました。

温暖化の問題が深刻化している地球に対するケアも世界的な課題でした。コペンハーゲンでは目覚しい成果はなかったようですが、この星を救うケアの動きはとられつつあります。

日本の硬直化した戦後体制にもメスが入り、これを立て直す動きが出ています。これが新という語につながるのでしょうが、ただ単に今まであったものを壊しただけという無責任(ケアレス)な状況に陥らないよう、この動きはしっかりと取り扱う(テイクケア)ことが必要でしょう。

日米関係は最悪の状況です。駐米大使が国務長官に呼び出されるという事態には十分な注意(ケア)が必要です。米国経済から多くの恩恵を受けてきた日本としては、今まで築いてきた日米関係を安易に扱うことなく、直ちに責任ある(ケアフル)説明行動が必要な状況です。

さて、街頭では救世軍が恵まれない人々をケアするクリスマス募金を呼びかけています。クリスマスは、社会、同僚、友人、そして家族への感謝の思い(ケア)を注ぐ時でもあります。

皆さんが楽しく年末を過ごされ、良い新年を迎えられますよう、心よりお祈りしております。



筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/

米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


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