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寒いながらも凛としたNYの空気は、休み明けで調子に乗り切れない気持ちを幾分か引き締めてくれるような気がします。マーケットも、年明けにトラが大暴れしてブルのムードを吹き飛ばすこともなく順調に推移して、NYダウは10,600ドルを大きく上回っています。
さて、こちらの紙面で日本関連の記事が取り上げられることはとても稀ですが、ここ最近は、藤井大臣の辞任や、JAL再建の動向など、珍しくマスコミは注目しています。ニューヨークタイムズ紙は、カプセルホテルを住まいにしている若者のストーリーまで取り上げ、日本を悲観視するトーンの記事が増えています。
さて、JAL再建の件について、これだけの時間をかけながらその方向性がなかなか定まらないことに驚きました。会社更生法の適用申請をするのかしないのか、株主責任をどこまで問うのかなど、報道内容も二転三転してきました。
JALのような巨大企業の行く末については、直接的な関係者だけでなく間接的な取引先への影響も大きく、慎重に扱うべき問題であることは当然でしょう。しかし、JALの業績悪化は昨日今日に始まった問題ではなく長年懸念されてきた危機で、入念に状況調査し対応方針を計画する時間が今まで充分にあったことを思うと、非常に残念な状況です。
社会的影響が大きく政治的対応が必要な大きな破綻は、米国でもGMやクライスラーなどの例がありました。これらと比較して、JALに対する日本政府の対応の拙さや遅さは信じられないほど不手際なものだと言わざるを得ません。
危機に瀕している会社への対応を不必要に長引かせると、僅かに残った企業価値に破滅的ダメージを与えてしまいます。一連の迷走は、JALの大切なステークホルダーである消費者にかえって悪いイメージを増幅しただけではないでしょうか。
「企業再生」という言葉を良く聞くようになりましたが、これには2つの重要局面があります。まず、第一段階は「ステークホルダーの利害の整理」です。この段階では、まず、社員、銀行、そして株主の間で利害の整理をしなければならず、社会的影響が大きい超大企業の場合には、政府レベルでの調整も重要です。GMやクライスラーの場合もそうでしたが、当面必要な運転資金をまず確保し、この利害整理をとにかく早く済ませることが鍵で、併せて、再建計画の仮説構築と新経営陣の組成に手をつけることができればベストです。
そして、第二段階が「事業再生」です。航空会社であればどの路線を残すのか、車メーカーであればどのブランド車種に絞るのか等、継続事業の早期収益化への打ち手を実行していく段階です。これが軌道に乗らなければ、その企業の再建はかないません。
私はあいにく以前も北米での不況を経験しましたが、今回特に思うことは、米企業の破綻処理、特に企業再生の「第一段階」の対応が格段に速くなったことです。倒産法適用申請をする以前に利害関係者の調整が完了している場合が多く、企業再生のスピードが非常に速くなっています。
アメリカの企業再生の迅速さは、今回の不況脱出までの時間も短くするかもしれません。日本でも、もっと迅速に企業再生を実行することが必要なのではないでしょうか。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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