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週明け予算教書の発表があり政治的な話題にはこと欠かない週ですが、先週末には10,000ドルを切るかと心配したNYダウも今のところ大台を維持、マーケットは小康状態です。
予算教書では財政赤字は約140兆円と最悪の状況となり、前提条件としては今年の実質GDP成長率を2.7%、失業率は平均で10%と予測していることがわかりました。大統領も雇用状況の改善を第一の課題として挙げていましたが、なかなか改善しない失業率に人々の不満は高まりつつあるように思います。
先週、北東部のある州の州都に滞在していましたが、連日零下の町に活気はなく、どのビルにもテナント募集の看板が寒々と目立つばかりで、実態経済の悪さがこれ以上続くと町もどこまで荒廃してしまうのかと心配になるほどの雰囲気でした。
実は、その町で私が訪れたのは今まさに人員整理中の会社でした。オフィスのコーヒールームの窓辺で外を流れる氷混じりの寒々しい川を黙って眺めている人を見ながら、不況のつらさを実際に身近に感じさせられた一週間でした。
重苦しい出張から戻る今日のフライトで広げたニューヨークタイムズの一面、そこには、事故で無残な鉄クズと化したレクサスの写真とともに、トヨタのリコール記事が載っていました。
昨年の8月28日、サンディエゴのハイウエーで「アクセルペダルが戻らない、ブレーキも効かない、もうインターチェンジが目の前だ、祈ってくれ、祈ってくれ」という悲痛な声でなされた警察への電話はクラッシュの音響を最後に切れ、非番の警察官だったドライバーと4人の家族は即死だったという書き出しで記事は始まっています。
品質を誇っていたトヨタがなぜここまでリコール対応に時間をかけたのか、同紙は中の紙面一面をさいて他の事故も追いながら、後手に回ったトヨタを辛らつに批判しています。
また、今日は、アップルの創業者の一人のウォズニアック氏が自分のプリウスが意図に反して急加速したとコメントするなど、ドライバーの不信感はさらに広がっているようです。
やはり今日のランチの米人同僚の話題は「おい、日本は、トヨタはどうしたの?」でした。
同僚にトヨタ愛好家は多く、レクサス、カムリ、そしてトラックと一家で3台のトヨタ車に乗っている者さえいます。今までは、社内の仕事の品質向上を訴求する例えで「トヨタクオリティー」と言っていたのですが、この例えは、当分お蔵入りにしなければなりません。
GDPが伸びて勢いある中国を背中に感じながら、失われた時があまりに長い日本としては、自信を失ってしまいそうな状況ではあります。しかし、戦後ここまで築いてきた日本の実績をいかに高めていくのか、焦らずに落ち着いて品質への信頼を積上げていくことが重要でしょう。
混迷している世界経済で、成熟国としての日本が果たしていくべき役割、それは「高い品質」を礎としてさらなる品質の向上を世界にもたらし続けていくことではないでしょうか。
先日のダボス会議でも存在感が全くなかった日本、発信力を高める軸は「品質」のはずです。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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