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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2010年2月24日(水)
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朝方に発表された2月の消費者景気信頼感指数が前月から大幅に低下し10ヶ月ぶりの低水準だったのを受けて、NYダウは100.97ドル下げ10,282.41ドルで取引を終えました。失業率が高止まり雇用不安も解消しない状況では消費の盛り上がりは期待できず、今後当面は景気の先行きに対する不安から、市場は一進一退のさえない動きが続くものと思われます。

また、ギリシャ問題をきっかけに米国や欧州各国の債務問題が市場の関心の的となっており、今後の波乱要因です。金融危機発生以降の「大きくて潰せない」という公式が国家の債務問題にもどこまで通じるのか、景気の回復が鈍い中、容易に解決がつかない憂鬱な問題です。

さて、トヨタのリコール問題に対する米国での批判はさらに激しさを増してきました。

今日から米下院議会委員会での公聴会が始まり、米国トヨタ販売のレンツ社長が出席して質疑に応じました。公聴会の中継を見ましたが、議員からの質問は、競合メーカーなど各議員の地元の利害を代表したものや、テレビ写りを意識したスタンドプレー的な質問、GMとトヨタの合弁工場の閉鎖を批判する筋違いの質問などが多く、聞いていて嫌気が差しました。

昨日はこのタイミングを狙って、ABCニュースのキャスターがトヨタ車を運転、アクセルが制御不能状態に陥る状況を再現してこれを放送したため、今日の公聴会でもこれを取り上げ、トヨタ車は危険なことの証明だという乱暴な議論もありました。

これは自動車技術の研究家がこの車の助手席に同乗、電子制御装置にアクセスして意図的にアクセルが制御不能となる状況を再現したもので、制御不能状況を車のコンピューターは認識せずソフト的な痕跡も残らず後から実証できない、という問題点に焦点を当てて報じていました。電子制御装置が問題かどうか米国の安全管理当局でさえ時間をかけて検証するものを、まるでマジックショーのように再現して報道するというのは、あまりに粗末な話です。

さて、今回のトヨタのリコール問題の根幹は何か。今日の委員会で、委員長は次のような発言をしています。「リコールの不手際な対応はとても残念で、トヨタのリーダーシップは根本的に意識の改革が必要だ」と。

不祥事の際に、世間が注目するのはトップの迅速で誠意ある指揮対応姿勢です。今回は、問題が拡大してもなお豊田社長が表に出てこなかったことは、米国議会だけではなく、マスコミからも大きな批判を浴びています。

創業家のトップに泥をかぶらせず社員で片付けようという日本的対応だったのでしょうが、危機対応こそが務めのトップがなかなか表に出てこなかったことは異常にみられています。また、問題が大きくなってからも、トップは米国に飛んでくるのではなくヨーロッパでダボス会議に出席していたという事実も、大きな不信と失望を与えました。

このようなトップの行動を認めてきたトヨタの取締役会の監視機能はどうなっているのか、トヨタのガバナンス機能の問題が根本的に問われています。リコール対応の拙さの根幹にあるトヨタの経営システム問題、グローバル企業としてのガバナンスの抜本的改革を併せてアピールしなければ、今後、市場からは長期的に厳しい指弾を浴びるものと思われます。



筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/

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