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先月末からワシントン、東京とあわただしく出張していたためこのコラムもお休みさせて頂きました。この間、米国の株式市場は一進一退ながらも、NYダウは10,500ドルを上回って推移してまずまずの状況でした。
ここ1ヶ月注目されてきたトヨタ問題は、トップの公聴会出席をきっかけに、やや批判が収まってきた感があります。公聴会でも取り上げられたABCニュースによるトヨタ車の暴走再現は、やはり客観性に欠け恣意性があることが明らかになり、カリフォルニアのハイウエーで起きたプリウスの暴走騒ぎも、ドライバーの証言が必ずしも車の状況と一致しないことが公表されるなど、危険一方やりだった情報もバランスを取り戻しつつあります。
さて、先日、米国の資金循環統計が発表されました。四半期毎にFRBが発表するこのデータは平時にはあまり見ないのですが、金融危機以降、世間の金の流れが大きく変わり、経済の中での資金の流れを見る資料として注目しているデータのひとつです。
それを見た感想は、2009年はデレバレッジ(債務圧縮)の年だった、ということです。
米国の経済全体を身近な1万円単位に縮小してみると、イメージ的にはこんな感じです。まず、家計部門を見てみると、2006年には110万円、2007年には85万円と毎年大きな借入をしていたのが、2008年には20万円しか借りなくなり、ついに2009年には237万円の返済を行いました。このうち、164万円は、住宅ローンの返済です。また、企業部門も、毎年平均900万円借りていたのに、2009年には200万円の返済をしています。一方、税収入も少なく経済対策等の資金も必要だったため、連邦政府は2009年には、1,443万円もの借入をしました。
結果的に2009年には、経済全体で438万円を返済、これは、2008年までの3年間平均で3,716万円の借入をしていたのとは、全く反対の経済行動結果となっています。
すごいデレバレッジ(債務圧縮)です。
資金循環を担う心臓でもある金融部門を見てみましょう。金融部門の貸し出しは、2008年までの3年間、年平均で2,765万円でした。これが、2009年は、回収が貸し出しを上回り、結果的に775万円の資金回収をしています。(注:実際、上記の数字は10億ドル単位です)
金融機関の貸し出し、それはいわば、心臓から送り出される動脈血です。当局、政府、そして議会をあげた金融業界への大きな支援の甲斐なく、結果的に、政策意図とは裏腹に金融は機能しなかったことが明らかになりました。
雇用環境はなかなか改善しませんが、資金循環表をみる限り、この状況がすぐに改善するような見通しはなさそうです。経済全体にうまく金がまわっていないのですから。
ただし、株式が上昇し家計の債務返済が進めば、家計の純資産は上がるという効果はあります。この純資産効果が消費に向かうのには時間がかかるでしょうし、住宅の価値の回復もまだ見込めないことを考えると、当面、消費のエンジンが回り出しそうな好影響は望めそうにはありません。
早く米国経済の血の巡りが良くなって欲しいものです。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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