TOKYO IPO スマホ版はこちら
TOKYO IPOTOKYO IPOは新規上場企業の情報を個人投資家に提供します。



IPO最新情報や西堀編集長のIPOレポート、FXストラテジストによる連載コラム、コモディティウィークリーレポートなど、今話題の様々な金融商品をタイムリーにご紹介するほか、資産運用フェア、IRセミナーのご案内など情報満載でお届けしています。

メールマガジン登録無料


開示速報検索サービス 登録無料!

米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2010年5月19日(水)
【PR】
【PR】
【PR】
ギリシャでのデモ騒動のテレビ中継の最中に発生した先日のマーケットの急落を私は「アテネの木曜日」と呼んでいます。約半時間ほどでマーケットは大きく揺れ、特に最初の15分は、全ての市場が大きく乱高下してまさに身の毛もよだつ思いをしました。一日の高値と安値の幅がNYダウで1,010.14ドルと、急激な市場の変動に2008年のリーマンショックを思い出しました。

シグナルにしたがってポジションを閉じようにも全くオーダーが通らず、その間にさらに大きく値を下げていく、初めての経験ではないとはいえ、二度と味わいたくない恐怖体験でした。米国の実態経済が少しずつ動き出しているという実感が出始め、買収やIPOの話も進みつつあったのに「アテネの木曜日」のおかげで雰囲気は一変して不安定さが増しています。為替、金利、そして商品と、どの相場も非常に激しい値動きで、下手な入り方をすると大火傷をしそうです。

恐怖指数と呼ばれボラティリィティーを測る指標である「VIX指数」も久しぶりに高止まりしており、マーケット参加者の不安心理が高いことがわかります。今日もNYダウは114.88ドル下げて取引を終え、10,510.95ドルと3月頃の水準となっています。

さて、このように急に冷や水を浴びせられた市場環境でIPOを検討中の会社はどう考えているのか?編集長がブログで提議されていた「IPOとは何か」についてこちらでも考えてみました。

米国では、投資家資金が大きく戻ってきたこともあってIPOを検討中の会社は増えているようです。しかし、過去40件のIPOのうち約半数は公開後に値を下げ続けており、IPOマーケットの成果は、今ひとつの状況です。

こちらで株式公開を考える会社の最初の一般的な考え方、それは「公開すると情報公開、SOXコンプライアンス、ガバナンスなど、面倒ばかりで良いことは全くない」というものです。

「上場はバラ色ですばらしい」という考え方から入ることはほとんどなく、IPOを勧める側も明るい側面だけを強調することはまずありません。

公開後に抱える費用、難題、面倒を理解しながらも、IPO後には買収取引などで自社株を一種の通貨のように使えるといった戦略的な意義を踏まえてIPOを進める会社が多いと思います。

会社の重要な意思決定を行なう上で主要株主が一定のガバナンスを確保したい場合には、予め株式の議決権などの種類構成やストラクチャーをその意図に沿って設計します。会社を公器として上場しながら主要株主としての利害もある程度確保し他の株主からの攻撃を防ぐセーフネットを具備しておく、このようなケースは少なからず見られます。

上場後のことも面倒だがガバナンスの仕組みでできることは予め手を打ち、社員あるいは将来の前向きな戦略のためにIPOはしっかりと進める。あとは株価の乱高下がおさまり基準株価が適正水準となるタイミングを待つだけと、そのような公開準備中の会社は多くあるようです。

「IPOは会社を社会的に永続させていく一種の承継プランである」という基本姿勢をしっかりと持っている会社は現在の市場でも好機を待っている、今はそのような状況だと言えます。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/

米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


Copyright (c) 1999-2024Tokyo IPO. All rights Reserved.