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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2010年5月26日(水)
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ギリシャショックを契機にマーケットの不安心理は高まっています。株式だけでなくあらゆる市場で相場は大きく乱高下しており胃の痛む毎日が続いています。NYダウは、22.82ドル安で取引が引けて、この日の終値10,043.75ドルは2月10日以来、約3ヶ月半ぶりの安値水準となりました。ザラ場では、10,000ドルを切る場面もあり、乱高下が激しい陰鬱な一日でした。

発表される経済指標には、ポジティブなものが多く、例えば、今日発表されたコンファレンス・ボード(民間調査機関)の5月の消費者景気信頼感指数(1985年=100)は、前月の57.7(改定値)から63.3と、大幅に上昇しました。今後6ヶ月間の景気見通しについても、良くなるとする見方が19.7%から23.5%に増加、雇用についても増えるとする推測が17.7%から20.4%に増加しています。また、今日発表のあった5月第1〜3週の小売売上高(既存店舗ベース)も、季節調整済み数値ベースで、前月同期比0.3%増加、前年同期比では2.8%増加しています。

マーケットの不安の種はヨーロッパの債務問題と北朝鮮の動きで、今のところ米国経済の前向きな材料を評価する動きは出ていません。

ヨーロッパや北朝鮮に関する不安は米国の国内要因ではないため、理解を越えた漠然とした怖さが広がっており、また、ドイツのショートセール規制のような市場に反する動きもあって、マーケット参加者の不安は一層高まっています。

必ずしも良いとは言えませんが、発生した問題にスピード感を持って対処する米国と、何か鈍重な感じのあるヨーロッパの対応スピードには、大きなギャップがあります。米国の大手投資家はこのギャップが理解できず、さらに不安心理に拍車がかかっている状況です。その結果米国の大きな債務問題にも目をつぶり、とりあえず米国債に資金を逃避させる動きとなっています。

これからどうなるのでしょうか?

地政学的には北朝鮮の行動がとても気になるところですが、これは別としても、今後のマーケットの行方は、大きく二つにかかっています。

一つは、投資家の投資意欲です。リーマンショックの時には一気にマーケットから資金が消えて、流動性が蒸発してしまいました。一方現在は、投資家の資金は貪欲な投資意欲を持っている状況です。このような高い流動性がある限り、リーマンショックの時のような恐怖的状況が再燃することはないでしょう。

投資家は、この調整局面の中で、しっかりと買い場を探そうと投資機会の周りをサメのように回遊しているように思われます。

もう一つはヨーロッパが知恵の集合体として、どんな建設的解決策を打ち出すか、ということでしょう。ユーロ圏の範囲が広がりすぎたとはいえ、文化と歴史の異なるこの集合体がどのような方法で現状打破を実現するのか?ヨーロッパの「知恵の輪」の結び目が注目されるところです。

投資家の投資意欲と流動性が維持され、欧州の知恵の輪が結び、そして米国の景気改善が持続する、この3つのシナリオの生起確率が高いと見る場合、今のボラティリティーは絶好の買い場をつかむ好機かも知れません。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/

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