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メモリアルデーが開け6月に入りましたが、市場は相変わらず揺れ動いています。欧州不安だけでなく、海底油田の原油漏れ事故、北朝鮮問題、中国の成長持続への疑問など、市場は乱高下を繰り返し、今日のダウは今にも10,000ドルを切りそうな水準で取引を終えました。
不安心理の表れであるボラティリティーインデックスも高止まったままで、あれだけ議論を呼んだゴールドマン騒動もどこかに消え去ってしまいました。
このように不安材料は数多くあるものの、ビジネスの世界では米国企業の競争優位性の向上をかけた動きが確実に進んでいることを示す話題が増えてきました。
世界第3位の航空会社であるユナイテッドと第5位のコンチネンタル航空との合併による世界トップの航空会社の誕生は先日も大きなニュースとして取り上げられました。厳しい経営環境をしのぐだけではなく、景気回復後の飛躍を期した戦略的打ち手として評価すべき動きです。
今日は、HPが大きな事業再編を発表しました。クラウド事業の強化を基本的な経営戦略とし、この戦略に合致しない部門を中心に9,000人もの削減を行うというものです。人員縮小だけでなく、戦略部門では新たな採用を進め、6,000人規模での新規雇用計画も併せて発表しました。さらに、クラウド関連のデータセンター投資など、今後数年間で約900億円規模の設備投資を行うことも盛り込まれています。
また、米産業機械大手のキャタピラーは、同社の鉄道事業部門が、機関車の大手メーカーであるエレクトロモーティブディーゼルを買収すると発表しました。約700億円の買収で、環境に優しい鉄道業界が今後も長期的に有望だというその将来性をにらんだ戦略的な打ち手です。
このように、社内の事業再編の遂行や買収による戦略強化の速さは米国企業ならではのスピード感で、日本のビジネス感覚ではなかなか実行できそうにないダイナミックさです。
欧州問題に目を奪われているうちに、米国の優秀な企業は粛々と「やるべきことはやる」という姿勢を堅持し、グローバルな競争力の強化に努めています。
このような動きの根本には、「株主に対して持続的に株主価値を高めていくためには、どのような手を打つべきか」と、会社がいつも考え続けているという基本姿勢があります。
また、株主も、会社に対して戦略的志向をいつも求め、前向きな戦略性を明確に打ち出せない会社は見捨てるという、会社に対峙する厳しいチェックの目を注いでいます。
日本企業は、メーカーだけでなくサービス産業も、もっと変革、変身のスピードを上げていかなければなりません。良く悲観的だと言われる日本企業の思考回路も、ここで前向きな方向にスイッチを入れて戦略的な転換を進めなければ、米国企業から取り残されてしまうばかりです。
経済に不透明さが残りM&Aマーケットがまだホットではないという状況の今、日本株式会社としては、抜本的戦略の打ち手を実行できるおもしろい時ではないでしょうか。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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