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6月末を控えた火曜日はコンファレンス・ボードが発表した6月の消費者景気信頼感指数が4ヶ月ぶりに振るわない数字だったため投資家の不安心理が一段と高まり株価は大きく下げました。NYダウは9900ドル台を割り込むレベルまで落ち、米長期金利は米国30年国債が4%を割り込むところまで買いを集め、円相場も対ドルで88円台まで急伸するなど、激しいボラティリティーに揺れた一日でした。水曜日のNYダウもつるべ落としで、9774.02ドルと年初来の最安値で引けました。
今や、強気の声は全く影を潜め米国経済の見通しは弱気一辺倒の雰囲気です。相場のさらなる崩れを予感してかボラティリティーインデックスも高い水準のままです。いつも書いているとおり、不安定な欧州情勢、改善しない失業率、低い設備稼働率、そして大きなGDPギャップといった不安材料のいくつかが改善に向かわない限り市場の安定性は戻らないと思われます。
火曜日はオバマ大統領がバーナンキ議長と会談、米国経済は回復の途上にあることを確認した旨のコメントも発表しましたが市場はこれを全く無視した形となりました。今後、雇用統計など、当面は弱含みの指標が続くのではないかという思惑も、市場軟化の要因となっているようです。
ここ数週間、大学のエコノミスト数名の話を聞く機会がありましたが、実は誰一人として、いわゆるダブルディップつまり景気回復の腰折れを心配する人はいませんでした。いわく、景気の回復は順調、あるいは、GDPギャップは回復する時には早いものだなど、意外なほど、心配無用という説ばかりなのが、印象的でした。
この見方に反して、実際現場で企業業績をモニタリングしている者として気になるのは、売り上げの伸びの鈍化や、利益率の低下という、企業損益の弱々しい状況です。確かに、流動性は豊かにあるため、資金繰りの悪化という危機的状況にすぐに至らない会社が多いのは事実ですが、企業部門では潜在的な危機感は高いのではないかと思います。
NYダウが10000や11000という大台を固められずに下押し大きく割ったという状況、それは、リーマンショック直前の夏の市場を連想させる嫌な雰囲気です。昨日はそんなことを考えると良く眠れずまんじりともせず朝になってしまったのですが、漫然とした不安は拭いきれません。
この不安の根本にあるもの、それは、やはりデレバレッジです。つまり、家計も企業も資金調達を活発化するほどには経済活動が盛り上がっていないということが問題です。資金循環で大きな役割を果たしているのは政府だけという事態は、正常ではありません。逆に政府が大きな役割を果たそうとするほど、規制や監視が強まり経済の活性化を逆行させるベクトルが働きます。
このままでは本当に景気回復が腰折れしてしまう可能性が高いことを懸念すべき状況です。そして、弱気な景気見通しが実際に景気の悪化を導くという「弱気見通しの自己実現」という悪循環に陥ることは避けねばなりません。
そのためには、ここで思い切って、肥大した政府の存在を見直し民間経済の自律的拡大を促すための政策転換を行なうべきでしょう。これは米国では、政権交代への期待感の高まりと議会選挙での選択の見直し、という方向につながっていくと思われます。景気の先行き不透明感がさらに高まった時、それは秋の選挙の趨勢に大きく影響を与える分水嶺になるかも知れません。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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