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独立記念日明けはしばらくは上げ相場が続くという経験則が当たるかに思えたマーケットでしたが金融機関など企業業績発表にはポジティブな材料がなく、上値を狙える材料はありません。
注目されたゴールドマンサックスの4〜6月期決算は、純利益が前年同期比8割減の約530億円に落ち込んだことが明らかになり、市場環境の厳しさが明らかになりました。SEC提訴関連の和解金費用の計上があったとはいえ、ヨーロッパ危機を契機とする金融市場環境の悪化によりトレーディングや投資銀行部門がさえなかったことが大きかったようです。
商務省は6月の住宅着工件数が前月比5%減少したことを発表しました。政府が住宅購入者向減税措置を終了した影響が大きいとはいえ、住宅セクターの回復の不安定さが明らかになりました。
今の米国企業の悩み、それは、売り上げが伸びない、収入が増えないという、成長の頭打ち状況です。リストラや経費削減の努力は限界に達し、需要を産み出すエンジン役だった政府支出のマッチポンプも能力の限界が見え始め、今後の利益成長が難しくなってきました。
トップラインが伸びない苦しみ、しかし、株主のためにはなんとかボトムラインの拡大を実現しなければならない責任、今、米国の企業経営者は、相当の重責に悩まされています。
通常、このような状況を打開する手は企業買収です。しかし、バブル時の反省からかM&Aも活発化しません。トップラインが伸びない悩みは誰にも共通で、買収をしてもさらに悩みが増幅するだけという事情があるからでしょう。買収による合理化メリットを得るだけではかえって危険で、企業買収効果が消えた数期後には、結果的に問題が増幅する可能性も高いといえます。
こんな米国と比較して、先日駆け足で訪問したブラジルは相当の熱気でした。バブルと言われる状況なのかもしれませんが、誰と話しても、「もはやハイパーインフレーションは過去のものでブラジルは新しく生まれ変わった。これからは、ブラジリアンドリームだ」と、とても旺盛でポジティブな姿勢を感じました。
かつての日本の所得倍増政策時代を思い起こさせるような熱い夢に溢れていました。
短期間の滞在でしたが、特に軽はずみな熱気だとは思いませんでした。「新興国」だから今後の成長余地は大きいという単純な成長論ではなく、「天然資源、農業資源、水」という重要な資源カードを戦略的に活用して、世界の中でブラジルを有利にポジショニングしていこうというビジョンと長期戦略を感じました。
ワールドカップやオリンピックは、そのための仕掛けの一つでしかないのでしょう。大イベントを取り込み国家戦略の大きな展開を進めるブラジルには、強いダイナミズムを感じました。
トップラインを伸ばすことに悩むアメリカとは好対照です。
日系人の歴史的努力もありブラジルとは親しみが深い日本、リオ新幹線受注合戦だけでなく、お互い戦略的に組んでいくことを考えていくべきではないでしょうか。アマゾンの農作地にはファンドを通して、大豆耕作地をおさえるべく中国マネーが分け入っていると聞きました。戦略的商業主義は、静かに、しかし大きく動いているようです。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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