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今日は、巨大化学メーカーのデュポンが前年同期比で2.8倍もの純利益を計上したことを発表、マーケットはこれを好感してしっかりとした相場展開になり、今日のNYダウは12.26ドル高の10,537.69ドルで引け、4営業日連続の上伸となりました。
しかし、有力調査機関のコンファレンス・ボードが、7月の消費者景気信頼感指数は2ヶ月連続で低下したことを発表、最近の弱気な見方が裏付けられて強気一辺倒にはなれない展開でした。
これは、明らかにボックス圏でのいわゆるヨーヨー相場となっています。
先日のバーナンキ議長の談話が「ゆるやかな成長が続いているという見方は変えないものの、経済の当面の推移を懸念しながら見守っている」というニュアンスだったことに表れているように、経済の実態は、弱々しい状況にあります。
そのような経済状況下、今、年末に向けて加速度的に進んでいる動き、それは、税率が上がることを意識した駆け込み的な取引です。
ブッシュ前政権が導入した減税政策が今年末で期限切れとなり、高所得者層に対する減税が打ち切られて、配当税率は39.6%となるのではないかという思惑による行動です。既に、財務省のガイトナー長官は、来年のキャピタルゲイン税と配当税の最高税率を20%にすると発表をしていますが、世間の動揺はなかなか鎮まっていません。
例えば利益剰余金が積みあがっている会社では、今年中に配当を実施しておこうと検討しているところが多いと聞いています。帳簿上の配当余力はあっても実際にそのような配当資金があるかどうかは別問題であり、資金の手当ても含めて今から計画的に準備することが必要だという経営者の思惑も強まっています。
しかし、冒頭に書いたとおり実体経済は脆弱な状態にあり、ここで、配当税率が39.6%もの高水準に引き上げられた場合には大きく景気回復が阻害されるのではないでしょうか。大リーグの4番バッターやエース並の所得を上げ大きな資産を持つ富裕層の影響力は大きく、経済の中でその活力がそがれるのは、非常に懸念すべき状況です。
米国の人々の税金や税率への関心は源泉徴収が当たり前の日本とは大きく異なります。米国において、税率の変更は即自分の懐に大きな差異をもたらすこととして大きな関心を呼び、選挙の度に、政党のマニフェストが明かす税政策は大きな脚光を浴びています。
おりから、日本の新首相は、消費税率引き上げの論点を選挙戦で取り上げ、惨敗しました。今後、日米では、税率の変更がどのように議論され受け止められる(受け止められない)のか、その行方が大いに注目されるところです。
世界中のあらゆる国の財政が破綻の懸念が強い状況にあります。どの国も、壊滅的な状況に陥りたくはありません。このリスクをコントロールするためにも税率の引き上げは必要な打ち手ではあるとはいえ、いかに引き上げ実施の段階をソフトランディングさせるのか、オバマ政権の現実的な手綱さばきが注目されるところです。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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