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先月初めの株価水準から見るとNYダウで1,000ドル近くも踏み上げた水準で今日も揉みあって10,636.38ドルで終えました。長期金利は4%台に上げ、オイルも80ドル台に戻って、にわかインフレ期待相場とも言える地合となっています。
しかし、指標的には、6月の米個人消費支出は前月比横ばい、中古住宅販売仮契約指数、製造業受注も市場予想を下回って、相変わらず景気減速を懸念すべき材料ばかりです。このようなトレーディング相場だとついて行くだけでも疲弊するので当面は夏休みを決め込みたいところです。
さて、マーケットのせちがらい話はさておき、最近よく考えさせられるのはアメリカ人の熱心で活発なコミュニティー活動です。
自治会、PTA、ボーイスカウト、恵まれない子どもの救済、古着のリサイクルなど、コミュニティーの様々なニーズに応えるために、色々な活動が行われています。こういった活動が展開される場も様々で、教会や学校、そして就業時間後の職場など、色々な場面で、誰もが必ず複数の活動に関与しているといっても過言ではありません。決して、金持ちだけが関わっているというものではなく、また、大きな気負いが必要なわけでもなく、年齢、性別、人種を問わず、自分の時間の一部をボランティア活動に割くのは当然のことと思われています。
私も、地元のボーイスカウト、食事に困っている家庭への食料配布をするフードバンク、そして、家庭で虐待を受けている子どもたちを法的に保護救済する非営利的団体、といったボランティア団体のお手伝いをしています。これらの活動で、参加者が一様に持っている思い、それは、自分たちのコミュニティーを少しでもより良くしていこうという希望と熱意です。
米国の大学受験では、志願書類に、どのようなコミュニティー活動をどれくらいの時間行っていたか自己申告を求められるのが通常です。進学塾では、大学の進学を考えるまでにこのような活動を最低100時間は行っておくように高校生を指導しています。高校の2年間に計画的にコミュニティー活動を100時間積上げておく、学習成績、クラブ活動、そしてコミュニティー活動の3拍子がそろわないと、大学進学の夢を希望通りかなえるのも簡単ではありません。
文化、言語、宗教、人種などが多様な米国社会では、お互いを認め合い、助け合う精神を基本として、地域、市、州そして国の運営がなされています。公的な組織ができないこと、やっていないことで必要なことがあれば、コミュニティー組織がこれらを担う、暗黙のうちにそのような社会的分業もできあがっています。
そして、所得が高い人ほど、コミュニティーに積極的に関わっています。税務上のメリットも背景としてありますが、ある意味、所得の再分配的役割を果たしているという側面もあります。ビルゲイツ、バフェットなど、冠財団を持っている大富豪でなくても、高所得者が自らの財団を持ち、しっかりとした公平な基準で様々な活動の資金源となっている例は少なくありません。
先日、日本の経営者の報酬番付が発表されましたが、そのうち何人がコミュニティー活動に関与しているか興味あるところです。社員の平均給与との格差倍率は30倍、しかもコミュニティー活動には興味なし、というのでは社員からの信頼や尊敬は集まらないのではないでしょうか。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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