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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2010年8月18日(水)
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今月5日から10日ほど夏休みをとって暑い日本に帰っている間に、米国の長期金利は大きく下がり、10年債は2.90%から2.63%に、30年債は4.05%から3.76%にと、金利水準が大きく低下(債券価格は上昇)しました。一方、NYダウは200ドル近く下げたぐらいの水準であまり冴えない動きでしたが、私が休んだ翌日から債券相場が勢いづいただけに、その間に一儲けした債券トレーダーからは「また休んでくれないか」と皮肉を言われる始末です。

6日の朝方に注目の雇用統計発表があり7月の非農業部門就業者数が二ヶ月連続で減少、マーケットの予想を大幅に上回って減少したため、なかなか回復しない雇用への懸念が強まったのが債券のラリーのきっかけのようですが、そろそろ一段落すべき金利水準となっています。

さて、この時期、日本では、原爆平和祈念式典や終戦の日に関する話題が多くなります。

特に今年は広島の平和祈念式典にルース米駐日大使が出席したため、この是非を巡る報道が多くなっています。ルース大使の出席について、原爆を投下したB29爆撃機「エノラ・ゲイ」の機長の息子が、「前例がなく、謝罪ととられるようなことはすべきではなかった」と批判したことが議論を呼びました。これに関して、米国務省の報道官は、「今回の出席は第二次世界大戦の犠牲者に敬意(Respect)を示すためで、これは正しいこと」だと説明しています。

私の周りにも戦後65年を思わせる出来事がありました。

私の米人同僚の父親が亡くなり遺品を整理していたところ、一つの日章旗がきれいに保存されているのを見つけました。武運長久を祈り、出征兵の氏名、出身地名、そして61人の寄せ書きがある保存状態の良い日章旗でした。この旗を保存していた父親は戦時中海兵隊員として南方戦線に従軍していたことから、玉砕戦で知られた激戦地で拾得されたものであると考えられ、インターネットとメールを通じて戦史研究家の方などに旗記載の出身地名を検討してもらった結果、関東のある県のご遺族にたどりつき、無事、高齢のご兄弟に日章旗を返還することができました。

この旗を持って出征された方は、南方海域の1万人以上もの戦死者を出したある島で戦死されたとの公報が届けられていたとのことで、ご兄弟が出征する兄を駅で見送ってから実に68年ぶりに遺品の旗だけが帰還したわけです。

兄を戦死させた米兵に対するご遺族の思いを考えると、旗を届ける際には、日本人として複雑な心境でした。しかし、「68年ぶりに故郷に帰ってくることができた兄は、これで安心して眠られるでしょう」との謝意を頂いて多少落ち着くとともに、旗を返還することで武運長久の祈りもむなしく戦地で果てた無念を少しでも晴らすお手伝いができたのではないかと思っています。

旗の返還を私に依頼した米人によれば、この旗を戦地から持ち帰った父親は帰還後も戦地の記憶が蘇えり、寝室で銃を手にしたまま夜中から朝まで過ごしていたこともあったとのことで、生還した側にも大きな心の傷を残したようです。

戦後65年、今の日米関係が、大戦の大きな犠牲の上に成り立っていることを身近に感じさせられた重い出来事でした。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/

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