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ついに円相場は14日の東京市場で83円台前半と15年ぶりの円高をつけ、その後も、菅代表の再選を受けて続伸、日本の政治的混迷の間隙をついた市場の動きは過酷さを増しています。円高は日本の中小企業をも容赦なく巻き込み壊滅的影響を及ぼしていると言うのに、日本の当局が相変わらず音なしの構えでいるためさらに容赦なく円高の勢いが強まっており、まるで暴風雨のような急激なマーケットの動きは本当に非情です。
経済の弱さを背景にどの先進国も自国通貨安に持って行きたいという流れの中、一人沈黙を決め込んでいる日本が標的となってさらに相対的に円が強くなるというこの動き、大して適切な動きをとらないでいる日本の当局や政府は何もしないという不作為の罪を感じるべき時でしょう。
さて、米国では議会や大統領が遅々として回復しない経済を巡り色々な動きが出てきました。先日、オバマ大統領はミドルクラス向けに打つ減税政策に関して記者会見を開きました。
オバマ大統領はこう言いました。「私は信じています。ミドルクラスが強い成長力を持たない限り、アメリカの経済が強い成長力を持つことはない。」と。
この発言の背景には、かつてブッシュ大統領が導入した富裕者層向けの減税措置を延長するように求めている共和党と、これを廃止して中産階級層にこそ減税を実施するべきだとする大統領との強い対立の構図があります。
「アメリカンドリーム」それは色々な形がありますが、そのひとつは、毎日働けば家族の生活が向上し良い暮らしが手に入ると言う、国民の基本的生活の上でのバラ色のドリームでもありました。しかし、金融危機以降急激に悪化したままの雇用状況という厳しい現実は、そのような夢を打ち破ってしまいました。
例えばOECDの2009年版ソーシャルインディケーターによれば、リストの30ヶ国のうち、米国は貧困率が17.1%とワースト3に入っています。また、併せて公表されている貧困格差についても、38.3%とこれも格差が大きい国3つのうちの一国となっています。つまり、貧しい者が多い上に、富める者との格差が世界でも類を見ないほど大きくなっていると言うわけです。
因みに同データによる日本の貧困率は14.9%、貧困格差は34.7%と、これも悲しいばかりのワースト水準です。(なお、OECDデータは、所得の中央値の50%以下を貧困と定義しています)
オバマ大統領としては、その発言のとおり、このような事態は憂慮すべき状況でもはや看過できず、ミドルクラスの窮乏状況の改善なしに経済の活性化は実現できないという立場を取っています。対する共和党は、人口的には一握りだが富裕者層の税率を優遇すれば、その大きな消費や投資を通じて経済的に大きな乗数効果をもたらし、総合的に大きな経済活性化をもたらすと論じています。中産労働階級を支持層とする民主党としても、容易に妥協できない根本政策です。
大統領の頭には、金融危機以前にも進んできた米国の生産性改善はミドルクラスには何ら還元効果がなく、逆に賃金カットや人員削減で疲弊をもたらしただけだったという経済観があると言われています。今後、大統領の政策の舵取りと、議会での駆け引きから目が離せません。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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