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待望されていた米国の景気判断が発表されました。全米経済研究所(NBER)によれば今回の景気後退は、2007年12月に始まって2009年6月に終了したということで、18ヶ月という景気後退期間は戦後最長記録となったという判定でした。
ベアスターンズ危機の3ヶ月前から景気後退が始まっていたという認定、あの頃はサブプライム問題の佳境だったことは記憶に新しく違和感はありません。ただしサブプライム問題がその後金融危機に発展するとは投資の神様バフェット氏も当時は予想していなかったことを思えば、その時々に、後日にも納得できる正しい景気判断を持つことはかなり難しいことだと痛感しました。
さて、9月は911の追悼式典などもあり大統領の会見を聞く機会が多くありました。スピーチの締め、それは「GOD BLESS AMERICA」(米国に神の祝福がありますように)という定型句です。昔、ヒアリングテープで繰り返して聞いたレーガン大統領の最後のこの言葉は声のトーンと抑揚が申し分なく格好良く決まっていて好きでしたが、実際、この言葉が何を意味しているのか、その本質的な思いや意義は日本人の私にはあまり理解できませんでした。
しかし、スピーチの他、政策の背景にも宗教的論理が影響していることが多いように思います。
例えば、金融危機時の政策対応は日米で大きく分かれました。震源地の米国では金融業界やその影響を大きく受ける関連業界に対しマクロ視点でいち早く大きな対応策を打ち出したことが、日本との大きな違いでした。グローバル社会に急激な変化が発生した中、早急に重要な打ち手を実行できたのは、背後に危機を重く受け止め緊急策をまとめる「大局観」があったからだと思います。しかし、あの未曾有の非常時に、なぜ米国は「大局観」を持てたのか?
そこには、日頃慣れ親しんでいる聖書の考え方が影響しているのではないでしょうか。つまり、聖書に書かれているように、まず「無限界、天、宇宙、地」などの全体的空間意識を持ち、そこから大局的に人間という存在を見つめていくという発想が、「大局観」が生まれる論理的背景になっているのではないかと思うのです。
これに対して、まずミクロなところから担当者の判断を積み上げ全体的なマクロ判断を形成していく、それが日本で一般的な稟議形式の合意形成です。例えば、日銀の支店長会議や金融政策決定会合など、参加者のいわば等身大の見方を積み上げて総合的判断が形成されていきます。しかし個々のレベルで正しいと思ったことを集約させて決めた判断が必ずしも社会的に最適な解法ではなかったという、いわゆる「合成の誤謬」の罠に陥ったケースは少なくありません。
こちらでは、世界や国家、または社会の流れを捉え、その広い視野の中で今なすべきことを大局的に「観て」策を考えるという「大局観」や「グランドデザイン」の構築に秀でていると思います。宮本武蔵の「観の目強く、見の目弱く」の如く、日本人にも本来できることだと思いますが、米国人が大局観をよりシステム的に構築できるのは、聖書の論理の影響を受け、「個」の前に「無限」の空間意識を持って大局に立つということが容易にできるからではないかと思います。
日曜日の朝は教会に行き聖書の世界観や論理が自然と備わる米国人の生活。日本人として米国人との発想の違いを考えるとき、その宗教観について良く理解すべきなのかもしれません。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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