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ようやく日銀が景気の下振れリスクに懸念を表明、ゼロ金利政策を復活させ5兆円規模の国債購入基金の新設が発表されました。「中央銀行として異例な包括的金融緩和措置」と述べた日銀に対し、マーケットは「遅い打ち手」とばかりに反応薄で、円安方向への動きはNY市場午後の時点では見られません。逆に、打ち手の出尽くし感が顕になり円安効果の手詰まり感が、早晩批判の矢を浴びるのではないでしょうか。やるべきことが遅すぎる、日本の不幸の構図の典型です。
早期に打つべき政策が実行されず、国家的に大きな問題となったもう一つの不幸、それは日本の消費者金融問題です。
先週、半期末の多忙さにかまけてこのコラムをお休みさせてもらいましたが、睡眠不足の眼に飛び込んできた記事、それは、消費者金融、武富士の会社更生法手続き開始という報道でした。潜在的な過払金債権者は最大200万人、その金額は2兆円かなどと憶測記事が飛んでいます。実際、この情報の把握は簡単なことではなく今後の推移を見守るしかないというのが現実でしょう。
多重債務、しかも5〜7社から借りている、そんな債務者の現実を知っていながら貸し込んできた消費者金融業界は、業界内で金が回らなくなるとたちまち破綻に傾くという基本的構図にありました。そこに、過払い金請求問題が起こり転落への道がさらに早まったということでしょう。
米国でもペイデー・ローンという消費者金融業者が問題になっています。その名のとおり、給与日前に手もとにお金がないときに当座の資金を高利のローンで借りる、そんなローンです。このような借入が状態化し高利ゆえにたちまち破綻に瀕する、そのような問題がこの不況下に表面化し、社会問題化しています。
新聞で読んだところではこんなローンです。ある教師が手もとに必要な400ドルがなく給料日に返すつもりで2週間借り入れたところ、460ドルが2週間後に自分の銀行口座から引き落とされた。この60ドルは金利ではなくお金を用立てた手数料との説明だったが、年金利に換算すると390%である、という恐ろしい話です。連邦法上は年金利換算表示が義務となっていますが借りる方も当面資金が必要なことから利用が続くという泥沼の構図は、日本のサラ金と同じです。
オバマ大統領は、先日、金融規制改革法による消費者金融保護局の設立責任者にハーバードのエリザベス・ウォーレン氏を指名することを発表しました。局長に指名すると議会承認に時間がかかるため、同局の設立責任者に指名するという離れ業が注目を浴びました。今後、米国の深刻な消費者金融問題にどのようにメスを入れていくのか、注目されるところです。
高利貸のことをこちらでは、普通、ローン・シャークと呼びます。その名のとおり、サメのように借入人を食い殺す脅威のローンというわけです。古来、このようなローンは巷間姿を消さないというのは人間の性だといえますが、いかに政策的にサメのような高利貸を締め出すかが為政者に問われるところです。英国王室史上有数の才能高い君主と言われたヘンリー8世は、1545年に利息制限法を制定しています。
オバマ大統領は消費者金融保護局のトップを離れ業的に指名する手段を導入してまで対応を急ごうとしています。消費者金融を野放しにした不作為の国日本とは好対照な状況です。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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