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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2010年10月27日(水)
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いよいよメジャーリーグはワールドシリーズ、秋のシーズンで夏の熱気が残る最後の大イベントです。ワールドシリーズ初出場のダラス・アーリントンのレンジャーズが、優勝歴5回のサンフランシスコ・ジャイアンツ相手にどのような戦いをするのか見ものです。特に、レンジャーズは今シーズン中、破綻処分という憂き目にあい歴史的豪腕投手のノーラン・ライアンと投資家が約500億円で落札するという嵐のような年だったことから勝利への思いはひとしおでしょう。

さて、ベースボールに熱中しているどころではない頭痛の種、それは円高の勢いです。今週始めには15年半ぶりの円高をつけ、どこまで円高が進むのか気になるところです。

長期デフレのうえに日銀の金融緩和政策も遅きに失した日本、一方、米国ではさらに緩和期待が高まっており、両金融当局の姿勢の差が円高加速の一因となっています。為替相場は単に相対的な美人投票ですから、デフレと潜在的インフレ期待の差の大きさは現時点の相場の方向に大きく影響しています。介入の警戒や節目の数字を破った時には一旦後退感はでるかもしれませんが、各国がこれだけ、景気回復のための自国通貨安を明確に意識している中で、政策の明示に遅れをとり一人鈍感な日本の現状では、基本的に円高基調を崩せそうにありません。いつも同じ事を言いますが、デフレ状態をここまで放置してきた不作為の咎めは深く、海外で稼げども円貨で目減りするという日本のビジネスの悲しい不幸はいつまでも続きそうだと思うと憂鬱です。

さて、クリスマスに向けてこれから盛り上がって行くのがチャリティーイベントです。色々なアイデアを駆使して慈善資金を集めていくそのダイナミックさには、いつも驚かされます。色々お手伝いしているなかで、今年はなかなかアメリカらしい「慈善の循環」に出会いました。

イラクでの米兵の戦死者は4,400人あまり、アフガニスタンの戦死米兵は1,000名を超えていると発表されています。負傷兵はイラク戦だけでも32,000人にのぼり、生還し退役しても義足や義手の生活を余儀なくされている人が多くいます。そこで、生活上、身体的に支えを必要としている退役者に介助犬を手配するボランティア団体があり、片足が義足で歩行に身体のバランスをとることが必要な人に介助をする犬を訓練して無料で提供するという活動をしています。

この犬の訓練は誰が行うか、これは本来プロの訓練士の仕事ですが、ここでさらに別のボランティアの仕組みが組み込まれています。刑務所の女性囚人の仕事として、介助犬の訓練プログラムが用意され、プロの訓練士の指導を受けながら犬を訓練して育て上げるのです。刑務所で、単に家具を作るような単純作業ではなく犬の教育に関わるというのは、刑務所に収監されている人にとって前向きに生き方を見つめなおす良い機会になっているようです。また、訓練とはいえ、犬とのふれあいの中で癒しを受けるという効果もあることが認められています。

刑務所での仕事のひとつとして介助犬の訓練が行われることで訓練費用が低く抑えられ、その介助犬を無料で提供でき、退役傷兵の生活が大きく支えられる、このような慈善の連鎖がそこにはあります。そしてこの活動の基本には、多くの戦死者と傷病兵を出た長年のイラク戦争、そしてまだ続いているアフガニスタン戦争の厳しい現実認識と兵士への感謝と愛国心もあるでしょう。

戦争の政治的是非の議論とは別に、厳しい現実を見つめて慈善の輪でできることは力を尽くす。そんな行動の基本には、人々の日常の宗教観が大きく影響していると改めて感じました。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


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