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ワールドシリーズはサンフランシスコの優勝で決まり、中間選挙は共和党の歴史的大勝利という結果が出て、アメリカの秋の大イベントが終わり、一気に冬めいてきました。
株式市場は、共和党が勝利するというのは織り込み済みの材料でもあったことから選挙結果に大きく反応することはありませんでした。また、もう一つの注目材料であった、米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)についても、2011年第2四半期末までに米国債を6,000億ドル買い入れることが決定され、なかなか改善しない失業率をにらんで、追加緩和策を導入し、ゼロ金利政策を続けることがあらためて確認されました。
昨夜は遅くまで、開票速報と各党の選挙事務所からの中継を見ていました。日本の開票日も同じような光景ですが、今回は、議会の勢力図が大きく塗りかえられることが予想されていたこともあり、チェンジに関する議論は熱く、ニュース番組としては楽しめました。
特に、大勝利により下院議長への就任が固まった共和党のベイナー院内総務は、勝利の記者会見で、時々涙に声をつまらせながら、オバマ大統領が進めてきた医療保険改革を破棄させるために注力するという決意を示し、膨張したワシントンの政府機能に歯止めをかけ財政支出削減を求め中小企業の成長を促して雇用機会を増やすことも確認していました。
この流れを受け、オバマ大統領は今朝の記者会見ではとても渋い表情でした。特に、大統領の地元イリノイ州で民主党の上院議員が敗れたことは大きなショックだったと思われます。チェンジを旗印に盛り上がったオバマ旋風が吹き止んだ背景には、雇用が全く改善しない経済状況への人々の大きな失望感があることは間違いありません。
オバマ政策の基本姿勢、それは、ミドルクラスに焦点を当てた政策の実行でした。
現政権の政策ブレーンとして労働組合が影響力を持っていることは、今まで、このコラムで取り上ました。今朝、オバマ大統領に近いと言われているSEIU(サービス業労働者連合)のホームページを覘いてみました。SEIUの議長は、「選挙結果に関わらず、ミドルクラスの生活を守るための政策は維持されるべき」、「過去10年間にわたり抑えられてきた労働者の賃金水準は大問題であり、フェアーな経済システムの構築がなされるべき」と、ブログで意見表明しています。しかし、健康保険制度改革や減税などミドルクラス向けの政策を推進していくための力となる議会での仕掛けを失ってしまいました。
4人の子どものうち1人には食事が渡らず、6人に1人が職探しに苦しみ、毎分2軒の家が差し押さえられ、20秒ごとに破綻する人が増える、この苦況の改善のために議会、政府、そして大統領はともに働くべきだと声高に求める組合勢力。一方、政府の関与を減らし富裕層や大きなビジネスへの優遇を実現すれば、乗数的に雇用も増えるとする共和党。特定勢力に偏らず、政府機能を縮小すべきとする保守的草の根運動家のティーパーティー。それぞれの勢力が念頭におく階級は異なり、最大公約数的政策は存在しません。
中間選挙の結果は出たものの、今後階級闘争とは言わないまでも、議会運営は混乱し混迷の度合いを深めそうです。「God Bless America」、神はアメリカをどう導いていくのでしょうか。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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