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スポーツ、政治、金融の大きなイベント、ワールドシリーズ、中間選挙、そして金融緩和政策発表が次々と終わり、気がつけば一気に冬めいてコートなしにはマンハッタンを歩けない季節となりました。株式市場は、2011年第2四半期末までに米国債を6,000億ドル買い入れるといういわゆるQE2を歓迎、NYダウは11,000を上回る水準となっています。
今年も余すところあと2ヶ月、この週末は最初のホリデー・チャリティーパーティーに参加しました。まだ11月というのに、司会はサンタに扮してマイクを握り2時間のパーティーの間にオークションなどを通じて約2,000万円もの資金が集まりました。これからの寒い時期、食事に困る貧しい家庭に教会や公民館を通じて食料と飲み物を配給するための集金ディナーでした。
失業率は高止まりして生活が困窮し、このようなチャリティー団体から配給される食料に頼っている人が多いという現実はとても厳しい状況です。会社や工場で働いていた人がレイオフされ、商店を営んでいた自営業主の多くが店を閉じました。ニューヨーク周辺の住宅街の小さなモールでも、多くの商店が閉めたまま閑散として荒れた雰囲気になっているところは少なくありません。
このように窮乏している人々の多くが民主党とオバマ大統領に高い期待を寄せたにも関わらずその思いが裏切られた反動が、今回の中間選挙結果に表れました。オバマ大統領は、記者会見で、「政策実現だけに気をとらわれ、国民と十分なコミュニケーションをとることができなかったことを反省している」と発言していましたが、この正直な反省の弁には驚かされました。政策の実現は与党の党務であり、大統領の使命は国民との対話にあることを思えば、中間選挙の敗因をこのように自己分析した大統領が、今後抜本的に姿勢転換できるかどうか注目されるところです。
マーケットが好感したQE2、そして政治的な転換が強いられそうな状況はさておき、世界的には不安定な状況にあります。新興国の活況と先進国の構造的不況、特に、ヨーロッパでは、かつてのギリシャと同様、今や、アイルランドが市場での大きな不安の種となっています。
銀行救済問題などアイルランドが抱える問題は大きく、この国が金融市場から信頼を回復する妙手はありません。テロ問題が頻発し、5人に1人は仕事がないというかつての貧しい状況を知る私としては、その後、欧州の優等生となったアイルランドには今回の危機を乗り越える知恵があるのではないかと、一人期待を抱きたいところですが、国債の信用力が失墜し買い手がつかないという状況は、ギリシャと同じ道を歩んでいます。
ギリシャ以降下火となっていたヨーロッパ各国の債務問題がアイルランドをきっかけに再燃し、世界的に波及するリスクがあることは、ある程度見込んでおくべきかもしれません。
現在のNYダウの11,000台というレベルは不安定な水準です。リーマンショックが襲った2008年の9月も同じ水準で、今や、もっと多くの不安材料が顕在化し、QEなど打ち手の手詰まり感も表面化しています。このような状況下、市場は近いうちに一度下振れするのではないか、という不安は払拭できせん。
金融危機で一躍有名になった、普段起こると思っていない事態が起こることの例え「ブラックスワン」。この黒鳥が再び市場に舞い降りるのではないかという悪夢にうなされるのは、小心者の私だけでしょうか。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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