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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2010年12月15日(水)
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今月も半分が過ぎ、クリスマスが足早に近づいてきました。NYは急に冷え込み、日々年末らしい雰囲気になっていますが、マーケットは熱気を帯びて、NYダウは11,000ドルを大きく超えて推移しています。

この熱気をもたらしたきっかけ、それは、オバマ大統領の大英断でした。

オバマ大統領が就任以来、頑なに否定していた富裕層向けの減税、いわゆる「ブッシュ減税」の延長(2年間)を認め、自らが推進してきたミドルクラス向けの減税との合わせわざを趣旨とする包括的減税法案を提出することを発表しました。

この大統領の決断に対して、民主党内には大きなブーイングの嵐が巻き起こり、クリントン元大統領まで担ぎ出して、この法案の審議に賛成するよう党内キャンペーンを行う事態となりました。クリントン大統領曰く、「この政策を推進しなければ、アメリカも日本のようになってしまう」と。悲しいたとえ話です。

包括的減税案を発表するオバマ大統領の顔には、苦悩の表情があふれていました。信念を曲げざるを得なかったのは、ミドルクラスおよび失業対策重視という自らの政策が共和党から人質にとられたからであり、不承不承の折衷案であると。

自らの政策を打ち出さず、「仮免許」と、堂々と喧伝している日本の首相とは大違いです。

この減税政策の経済的効果は諸説がありますが、大きな効果をもたらすことは間違いなく、最も強気な見込みでは、2011年に経済成長を1%程度は押し上げる効果が出るのではないかとする観測もあります。

失業率が思うように改善せず批判の矢面に立っている一国のトップとしては、政治的な面子を捨ててまでも、経済回復のための打ち手をリードしなければならない危機的状況にあると言えます。先日、フライトに復職したアテンダントとの立ち話を書きましたが、仕事に復帰できる状況にない産業も多く、実際の経済状況は、株価の推移と異なった苦境を呈しています。

そしてさらに陰鬱な雰囲気、それは最近北朝鮮問題の不穏な状況が身近に実感されることです。

先日遊びに来ていた息子の友人が、潜水艦に乗務している父親がクリスマスに帰ってくるのが楽しみだと言っていたのに、昨日は寂しそうな顔をしていました。任務に留まることになり一時帰休が中止になったということでした。もちろん、どの海域に向かうのかは、家族には知らされず、深海に息を潜めて長く留まる父をただ心配しているだけです。

命を張って家族の生活を支えている知人の存在を身近に感じる時、米国には「戦争」がすぐ身近なことと痛感します。大統領には、経済問題だけではなく、巨大な軍事組織を率いるトップとしての管理責任がのしかかっています。重要事項を解決すべき時は、妥協も辞さずに英断する、これは経済問題のみならず、外交や軍事でも必要な姿勢であり、今回は、自分の党派の好みを越えて、オバマ大統領のリーダーとしての高いマネジメント能力の一端を見た気がしました。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


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