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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2010年12月22日(水)
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夜は手袋なしでは歩けないほど寒さが厳しいNYですが、マーケットは、クリスマス休み前の浮かれ気分からか、NYダウは11,000ドルを大きく超えて推移しています。

この熱気をもたらしたのは、オバマ大統領があえて「ブッシュ減税」の延長(2年間)を認める決断を行い、自らが推進してきたミドルクラス向けの減税との合わせ技を趣旨とする包括的減税法案を提出したことがきっかけであることは、前回書きました。

これをきっかけに、債券相場は大きく下落(利回りは上昇)しています。長期金利は反転し金利上昇しています。量的緩和政策を好感して下げ基調が続いてきた金利環境は、ここにきて大きく転換しました。しかし、これが、一時的なモメンタムの変化なのか、金利マーケットの本質的なパラダイム転換なのか、まだ良く見極めなければならないと思います。そのうち、弱含みの経済指標が相次いで発表され、再び利回り低下方向に向かうことは、マーケットのボラティリティーの変化としては考えられるシナリオでもあり、未だ判断は難しいところです。

しかし、本質的な変化かどうかの議論はさておき、金利が反転するほどの政策的効果が出ているという点は、日本とは大きな違いです。

前回指摘したとおり、あえて妥協すると言うオバマ大統領の姿勢も評価されるべきですが、デフレ懸念を払拭するほどの量的緩和を徹底して行なっているのは、皮肉にも「日本のようにはなりたくない」という政策意図の強さを表しており、逆にそこまで大きな手を打てなかった日本との現実の差が、明らかになっています。

先日、ガイトナー財務長官が注目すべき議会証言を行ないました。

米国がこれまで打ってきた一連の金融危機対応政策、つまり、金融機関や大手自動車メーカーへの公的資金の注入など様々な政策のための財政費用の総額は、連邦準備制度理事会(FRB)や連邦預金保険公社(FDIC)による支援を合わせても、国内総生産(GDP)の1%足らずの水準にとどまるという発表です。(時事)

ガイトナー長官は、「予想された費用に比べるとほんのわずかなコストで金融システムや経済に安定をもたらした」と成果を強調、金融機関や自動車大手への公的資金注入では最終的には利益を計上する見込みだとも公表しています。

大きな手を打って、政策効果の発揮を期し、そして結果的に政策コストの極小化も目指す。これは、かつて、貯蓄貸付組合(S&L)危機の際に出動させた政策が結果的に、GDPの2.4%の財政負担となったことの教訓に基づいたものでもあるようですが、それは日本の「遅すぎて、小さすぎる」政策が過去の教訓が活かされていないこと思えば、悲しい現実の対比です。

日米における、政策実行時の大胆さの違い、それは、何に依拠しているのか。どちらの国も官僚が政策立案に深く関っていることを考えれば、官僚よりも、その官僚の発想を導く政治家のリーダーシップの違いなのかもしれません。日本の財政状況が悪化した今、これからの日本の政治家は政策のコストと効果を、リーダーシップを持って真剣に考えるべきではないでしょうか。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


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