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先週末、ブラックベリーの着信メールに「2010年の名目GDPが、日本は5兆4742億ドルとなり、中国の5兆8786億ドルに抜かれて世界第三位になった。」という配信がありました。中国では、「8」が良い数字として好まれますが、その「8」がしっかりと2個も入っていることに思わず苦笑しましたが、ついにこの時が来たかという思いをしばし抱きました。
もちろん、人口が大きい中国のGDPが日本を抜かすのは時間の問題でした。国民1人当たりのGDPで見れば、日本が約4万ドル、中国が4500ドルと、その差には依然として大きな開きがあり、日本の一人あたりGDPは、まだ世界でおそらく8位程度の水準です。
先週はハワイのパールハーバーで仕事をしながら、GDP順位を中国が抜いたこと、そして最近ハワイで日本の富裕者が以下に書くような投資をしているという話を聞き複雑な心境になりました。
ハワイ州の人口は約136万人と日本の川崎市程度の人口です。観光者は年間約700万人と人口の約7倍弱、うち日本からの旅行者が約100万人と、全人口に匹敵するほどの規模になっています。多くの日本人観光客が夜遅くまでブランドのブティックを歩き、日本人の豊かさを印象付けています。しかし、年間の自殺者3万人、引きこもり者推定360万人という悲惨な側面があることも、日本の厳しい現実で、米国でもよく報道されています。
このような日本の「社会的弱者」の対極にある「富裕者」。実は最近、日本の富裕者は、巨万の個人資産を手に、ハワイの有名なゴルフコースやリゾートを買い漁り、高い注目を浴びています。
この富裕者は、生産システムを早くから中国に作り、安価な製品を大量に日本で販売し大きな利益を得た有名なビジネスマンです。結果的に、日本の空洞化を進行させ、深刻なデフレ現象を加速化させたとも言えるこの企業家の富、それが、ハワイに逃避しているという構図です。
デフレが長く続き、引きこもりや自殺者などの社会的弱者を多く出す事態に陥った日本。一方、デフレで手にした富さえ日本で再投資せず、海外に逃避させているという成功者の現実。
このような実態をハワイの現地で見聞して、とても複雑な心境になりました。
社会的幸福を再生するためには日本は何をなすべきか、日本としての「幸せのカタチ」を早急に築いて国家としての凋落を抑えるためには、まず、デフレの根治が重要なことは明らかです。
しかし、政治家や金融当局だけでなく、デフレを味方にして大きな収益を上げた企業家は、財団などを設立して、日本の社会的弱者救済のためのプログラム提供を行なうなど、自らの社会的使命の自覚を持つべきではないでしょうか。
ハワイ州の一人あたりGDPは約5万1千ドルと、日本をやや上回りながらも大きく違うわけではありません。スローライフながらも幸せそうな日系米人の友人から、日本人の最近の投資話を聞きながら、憤りを憶えたひと時でした。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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