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被災地での瓦礫の整理がようやく進み始めたとはいえ、ニュースを見るたびに地震と津波の爪あとの大きさに驚きます。また、津波が襲う間際まで仕事の責任を全うされていた警察、消防、学校、病院等の勇気ある殉職者の方々の話など、多くの小さなヒーロー、ヒロインのストーリーが明らかになるたびに、胸がつぶれる思いの毎日です。バージニア州出身の米国人の先生が、石巻市の学校で津波に流され犠牲になったニュースも、こちらでは新たな悲しみを呼びました。
さて、震災後すぐに始まった米国各地の義捐金募集活動は、学校、レストラン、そしてショッピングモールと、色々な場所で展開されています。チャリティーに長く携わっている米人の友人によると、義捐金が集まるペースは、ハイチ地震のおよそ半分以下のスピードだということですが、それでも、私にとっては、この草の根の熱意の熱さは、正直言って驚きでした。金額の多寡に関わらず、日本を気遣ってくれる気持ちはありがたいものだと思います。
さて、日本ではあまり注目されていない情報ですが、ワシントン郊外にある米国政府の研究機関である米国地質研究所(USGS)では、世界中の地震などに関する様々な情報を発信、今回の東日本の地震と津波に関する情報もアップデートされています。
参照ページ:http://walrus.wr.usgs.gov/news/sendai.html
その発表で驚いたことが一つ、それは、USGSでは約1年前の昨年4月に仙台で東北大学が主催した津波に関するシンポジウムに参加、今回の被災地を視察していたということです。三陸や仙台で、歴史的に津波の被害が大きかった津波警戒区域を視察、そこで撮影した写真を使い1年前と今回の震災後の状況を対比する形で、津波に関する情報を掲載しています。
彼らの研究テーマ、それは、869年に今回と同じく日本海溝で起こったマグニチュード8.6(推定)のいわゆる「貞観地震」の津波が、三陸海岸沿いで内陸のどこまで被害を及ぼしたのか、というもので、その検証のために、津波が流し込んだ砂の地層の分布を行うという調査でした。その時の調べでは、海岸から約5キロまで、津波が押し寄せたようだという報告が出されており、今回、仙台空港周辺で約4キロまで浸水したことと符号する内容となっています。
1142年も前の貞観の世に津波が押し寄せた5キロ地点には、津波を除けるという信仰が生まれ「波分神社」が奉られているという話も写真入りで掲載されています。日本海溝での地震発生により貞観津波から数えて歴史上5回(869年、1611年、1896年、1933年、2011年)もの津波が東北東海岸を襲った(注:1960年にはチリ津波)ことは怖れるばかりですが、貞観津波の件はAPが世界に配信し米国でも新聞やテレビで報道されました。特に、「Jogan」の件は福島の原発問題に関連して引用され、東京電力はなぜこのような歴史的研究データを活用しなかったのかという批判記事となっています。貞観津波や慶長津波の高さよりも高い敷地標高約15メートルを確保している女川原発が津波の被害が小さかったという事実と相俟って、福島原発の防災対応の甘さに、厳しい目が向けられています。NY Times紙は「シミュレーション・モデル妄信主義」に陥り「安全第一主義」を凌駕してしまったのは、日本人の優秀さゆえの結論だったのではないか、とやや皮肉交じりの論評をしています。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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