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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2011年4月6日(水)
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東日本大震災の発生から1ヶ月足らず、米国の人々は、被災地の状況や原子力発電所の事態の推移などを理解するにつれて、日本への同情の念と併せて、その被害の大きさにあらためて驚いているという状況です。

米国各地で繰り広げられている日本向けの義捐金募集の行事もアイデアが驚くほど豊富です。コンサート、折鶴イベント、リストバンド、そして「ガンバレ日本」のTシャツ販売など、様々な企画で集金が進められています。私がサポートしているある募金キャンペーンでも、あと1週間で、おそらく1億円近くに達する見込みです。現時点で、東日本大震災向けに900億円近くの義捐金が集ったものの分配方法が未定だという報道がありましたが、こちらで募金をしてくれる人には、義捐金を震災孤児の支援など使途が見える形で届けて欲しいという声もあり、どのようにしてこの善意の資金を届けるべきか、頭を悩ませています。

日本の震災の影響は、北米経済にも色々な影響を与えています。北関東以北で製造されている重要部品の製造が震災でストップし、これらが揃わず、自動車やエレクトロニクスの最終製品の製造ラインが事実上停止しているケースが、米国でも多くなっています。

キャッシュフロー重視のためできるだけ在庫量を最少化し、日本からの調達時間を効率化させる製造形態になっている今の取引先のつながり、いわゆる「バリューチェーン」のおかげで、米国メーカーへの影響は軽視できない規模になっています。経済的には、まさに、スローモーションのTSUNAMIが、今、米国経済を襲っているという状況です。

これで日本製品の重要な位置づけが明確になったという見方もありますが、このような製造業界での操業率ダウンという悪影響には、米国の金融当局も憂慮して事態を見守っています。

この3月末、市場では、実は疲れを覚える事態がありました。あるアジアの国の金融機関は、日本企業のリスクを避けろとの本店指示が出たとのことで、一斉に、日本の金融機関に預けていた資金の引き揚げや融資の中止という行動に出ていました。原発問題、特にプルサーマルの3号機が危険で日本が危ないとばかりの流言を妄信し、強引に資金回収を行なっていました。

「原発の状況は深刻だとしてもそんな話はデマだし、まさかの時の友こそ、真の友というではないか」と話しても、「本店の指示だから」と聞く耳を持ちませんでした。失われた20年の間には「ジャパン・プレミアム」という「日本への危機感による上乗せコスト」を払わねばならないという事態を何度も経験してきましたが、今回は実に情けない思いがしました。

放射能の問題が収束するまで時間がかかりそうな原発問題があるとはいえ、東日本大震災後の日本をどのように変えていくのか、再建の明るい道筋を世界に示し、国際的に前向きな協力を具体的に求めるほどのビジョンを早く示さないことには、「日本沈没」のイメージが世界的に本当に定着してしまう懸念さえあり、今こそ、日本の強い政治的メッセージが求められています。

原発問題対応だけではなく、津波に襲われた広大な面積の土地を、津波への耐性を高め国家的に有効活用するためのマスタープランを提示するなど、国土再生に向けて動き出す日本の力強さを早く世界にアピールするスマートな動きを期待したいもので。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


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