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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2011年4月13日(水)
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東日本大震災の発生から1ヶ月が経ち、依然危機感が高い「フクシマ」の原発や余震のニュースなどに、世界中が文字どおり震撼しています。日本製の高性能部品の在庫が底をつき自動車メーカーなどで生産停止をするラインも発生するなど、米国でもいわゆる「バリューチェーン」の悪影響が実感され、金融当局(FRB)も「日本発のリセッション」さえ懸念し注視しています。

今日、米国市場では、年初来上げてきた原油、金などの商品市況が大きく下げ、株式市場もNYダウが一時は前日終値を150ドル近く下げるまで売られるなど、大きく荒れたマーケットとなりました。この背景には、ゴールドマン・サックスが前日、原油価格が今年急ピッチで上昇してきた反動で今後下落するリスクが高いというメッセージを出したことも影響しているようですが、不安材料が多い中、利益確定の手仕舞い売りが大きく出たものと思われます。

欧州の債務問題、高騰した商品市況の経済への悪影響、日本の震災と原発問題、そして実感を伴わない米国の緩やかな景気回復と、世界中に不安材料があふれています。このような環境では、米国の株式だけが今までの調子で上昇を続けることはありえないとも言えるでしょう。また、このような難題に加え、世界にも問題が波及する米国の頭痛の種、それは、政府の財政問題です。

今日の財務省発表によると、2010年10月〜11年3月の財政収支は約69兆5000億円(8294億1000万ドル)もの赤字でした。これは前年同期の赤字を15.7%も上回り、最悪の財政状況です。年末に大統領が妥協して成立させた包括減税法で税収が抑えられた一方で、オバマ大統領肝いりのヘルスケアプランで経費は増え、財政状況は悪化するばかりです。

先週末は、米国政府の予算措置が議会を通らず、政府の機能は麻痺かと心配されるほどの限界局面となり緊張が走りました。政府の経費削減を強行に求める野党共和党と、これに政策的に抵抗する与党民主党との間で、政府予算の削減幅を巡り熾烈な議論が戦わされました。最終的には、オバマ大統領が、当初民主党が想定していた抵抗ライン以上の経費削減に踏み切って、政府関連の事務所閉鎖など最悪の事態には至ることなく事態は収拾されました。オバマ大統領としては、連邦政府の財政問題に対峙し、今まで広げてきた政策テーマを取捨選択して焦点を絞るべき局面になってきました。歳入が限られ、国債発行も野放図にできない今、新幹線のような高速鉄道網整備をとるのか、ヘルスケア改革を推進するのか、重要度の選択が必要となっています。

災害や事故の現場では、救急隊員の数が限られている場合、やむなく、救命対応行動の重要度を判断するという手順が打たれます。トリアージュといわれるこの判断は、その時の限られた打ち手がいかに一人でも多くの命の蘇生につながるのか、という規準でなされます。

世界のためにも破綻できない米国では、大統領選挙へのポーズもあるとはいえ大統領自らが発想の転換を行なっています。本来の財政問題に加え震災という難事が襲った日本では、今、国家課題の優先度を早急に決め、今までにない新たな発想の復興予算が必要です。例えば、震災で失われた財産の再構築の財源は、今大きな財産を有している人の資産力を活かすというのも一つの発想転換でしょう。震災復興のために資金を供与した人には、一定の相続税の税額控除を与えるなど、法人税や所得税というフローでは限界がある今の経済状況でも、資産ベースでは持てる人から天災で資産を失った人への支援促進は可能なはずです。財政支出の重要度の順位付け、あるいは歳入の発想の多様化など、今までとは異なる発想転換を行なうべき時ではないでしょうか。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


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