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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2011年6月15日(水)
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前日の株式市場は、5月の米小売売上高が11ヶ月ぶりに前月比悪化したものの市場予想ほどではなかったことから景気減速の懸念が後退したという思惑を呼び大幅高となりましたが、今日はニューヨーク連銀が発表した6月の地区の製造業景況指数が良くなかったことや欧州の債務問題を理由に急落し178.84ドル安の11,897.27ドルと、3月18日以来約3ヶ月ぶりの安値で終了しました。投資家の不安心理を示し「恐怖指数」と言われているシカゴのボラティリティー指数(VIX)も、21.32と終値ベースで3月18日以来の高値となっています。

マーケットは世界的な景気後退感に揺れています。先般の雇用統計の弱さによる「景気の息切れ観測」を打ち消すほどの強い材料はなく、このような大きな下落は自然な流れでしょう。

さて、東日本大震災から、早くも3ヶ月が経ちましたが、先日、「トモダチ作戦」に参加し帰国した米軍人の話を聞きました。米国海兵隊第7艦隊のこの士官によれば、日本救援作戦中に最も神経を使ったのは、風で飛散した放射能のチリの状況を考え洋上のどこに艦艇を位置するか、という問題だったようです。艦艇や兵員の放射線被爆を避け救助をどう展開すべきか、非常に悩んだとはいえ、いわば、局地的な核戦争が勃発した際の貴重な実践的経験ともなったようです。

この話を聞いて、あらためて、震災1週間後(日本時間3月18日、米国時間3月17日)の首相演説と、オバマ大統領のスピーチを比較しながら読んでみました。

オバマ大統領は、「今日、日本の大震災に関連し我々が知っていることを米国民に伝えたい。日本で多くの関係者が問題の解決に当たっているのは承知しているが、原発問題は近隣の人々に大きな危険を及ぼしかねない状況であり、昨日近隣50マイルの米国人滞在者に避難勧告を出した。」と演説を始め、その後、米国の原発施設の再点検を指示したことなどを説明しました。

同じ日の管総理の演説です、「原子力事故の状況はまだまだ予断を許さない状況が続いております。今、この危機を乗り越えるため、東京電力、自衛隊、警察、消防、関係者の皆様が、まさに命がけで作業に当たっていただいております。私も、この原子力事故に対して決死の覚悟で最大限の努力を尽くしております。必ずや・(中略)・安心を取り戻したい。その決意を胸に秘めて、これからも更に努力をしてまいります。」と、「決意表明」でしかない内容の演説でした。

未曾有の危機に瀕した中で、「問題認識を説明して具体的な指示を伝える」という大統領の説明責任を果たすコミュニケーションと、「努力します」という決意表明の日本の首相。

軍事演習さながらに艦隊を日本方面に動かした米国は、軍事的にアジア方面で日本防衛の隙を作ってはならないという軍事上の戦略的意図と、原発問題への非常に高い危機意識があったことは、最初の1週間の行動とスピーチから明確に、読み取れるところです。

リーダーの判断とコミュニケーションの質の濃さ、それを可能にするためには、高い情報収集能力を持ち、高機能を発揮している組織が必要です。首相個人の演説能力という問題だけではなく、実は、日本政府の情報収集、分析、判断能力が危機対応に十分なレベルではなく、そして、首相自らの官僚組織活用能力にも欠陥があった、そんな厳しい実態が、危機状況で露呈していたのではないか、2つのスピーチを読み返してみて、そんなことを考えさせられました。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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