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今週は世界的に良いニュースがない暗い週となりました。ノルウエーの侠気的な大量射殺事件、そして、中国での新幹線事故など、陰鬱な事件、悲惨な事故が続きました。特に、オスローの事件は、経済問題で長期的に揺れているヨーロッパでの奇異な事件として、この地域の今後の行く末が心配になるような事件で、とても驚かされました。
米国では、政府の債務上限引き上げに関する財政政策を巡り与野党で激しく意見が対立して混迷が深くなっています。このような中、為替は一時1ドル77円台に突入、米ドルとの比較美人としての円が買われるというマーケットの構図は、相変わらずです。株式市場は12,500ドル近辺(NYダウ)を維持しており、意外にしっかりと堪えています。
このような状況で、昨夜、オバマ米大統領は、米国のデフォルト(債務不履行)を回避するための議会での議論の状況に関する声明を発表しました。先週末から続けてきた米国政府の債務上限引き上げと財政赤字削減策に関する、オバマ大統領や民主党と共和党のベイナー下院議長の協議が暗礁にのりあげたことを発表するスピーチでした。上院議会の民主党、下院議会の共和党がそれぞれ政府の法定債務上限引き上げと実施政策案を提案したものの、それぞれ内容がかみ合わず、歩み寄れずに決裂したというのが、米国時間の昨夜の状況です。
テレビニュースでは、8月2日という危機のデッドラインまでの残り時間が表示され、債務上限を引き上げられずに米国がデフォルト危機に陥るいわば時限爆弾のカウントをしています。
民主党と共和党の政策視点が異なるのは当然とはいえ、ここまで、議論が決裂するとは、とんでもない状況になってきました。日本のように居座り首相が内閣や党から見捨てられているという状況に比べると米国の方がましとはいえ、異常な事態です。
今まで、どの大統領もその場しのぎ的に議会対応を行い、債務上限の引き上げを実施してきました。昨夜のオバマ大統領のスピーチでも、かつてのレーガン大統領の発言を引用して、共和党政権時代も行ってきた債務上限引き上げ対応を認められて当然と言う議論を展開していました。しかし、今回の状況は、米国の経済環境が全く好転せず雇用状況も悪くこのままでは税収が見込めないこと、債務残高の上限(14兆2,900億ドル、1,140兆円)が、いよいよ弁済能力の上限に近づいていること、などが今までとは大きく異なります。
以前も書きましたが、このようにいよいよ分ける「パイ」が限られた環境となって、共和党、民主党はそれぞれの支持層をバックに、「パイ」の奪い合いとなりいわゆる「階級闘争」的な様相を呈しています。共和党の支持層である富裕層をターゲットに、民主党や大統領は「富める層はもっと税金を支払うべきだ」という主張を繰り広げています。対して共和党側は、「ヘルスケア改革などは不要な政策だ、共和党の主な支持層は何ら恩恵も受けない、そのような社会政策へのバラマキこそやめるべきだ」と、激しく対立しています。昨夜のスピーチで大統領は、「共和党には、超党派的視点がなく、危機回避への努力を止めてしまう輩(ストールメイト)となっており残念だ」と述べ、大統領としても一歩も引かない構えを明らかにしました。
8月2日までに妥協が成立するのか、デッドラインを変更し延長戦に突入するのか、事態がさらに紛糾してドル危機が勃発するのか、このコラムの99回目に憂慮すべき事態となってきました。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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