TOKYO IPO スマホ版はこちら
TOKYO IPOTOKYO IPOは新規上場企業の情報を個人投資家に提供します。



IPO最新情報や西堀編集長のIPOレポート、FXストラテジストによる連載コラム、コモディティウィークリーレポートなど、今話題の様々な金融商品をタイムリーにご紹介するほか、資産運用フェア、IRセミナーのご案内など情報満載でお届けしています。

メールマガジン登録無料


開示速報検索サービス 登録無料!

米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2011年8月3日(水)
【PR】
【PR】
【PR】
2009年2月から始めたこのコラムもいよいよ100回目となりました。当時の株価はNYダウで6,800ドル近辺と底を這い、欧米の大型倒産の波は当時「TSUNAMI」と呼ばれ、社会的ハイレバレッジが崩壊した恐怖感はピークに達していました。

そんな恐怖感が薄れたのは事実ですが思えば当時の失業率は7.6%でした。9.2%(6月)と失業率は未だに高く雇用状況は全く改善していません。今日の株式相場はNYダウで12,000ドルを大きく割ったものの、この間大きく上昇してきたわけですが、米国の一般的な国民の苦しい生活実感との乖離を考えると、単なる過剰流動性供給の買相場だったといえるかもしれません。

この間、オバマ大統領はいくつかの大きな試練を乗り越えてきました。しかし、就任2年半を経て、このタイミングでその政治的苦境は、ピークに達した感があります。

先週は「米国政府はいよいよデフォルト(債務不履行)を起こすのか」と、いよいよ逼迫した危機的状況でした。オバマ大統領は、議会に対してこの異常事態の解決を促す声明を何度も発表するなど、日々、その緊張度は高まりをみせていました。

先週特に熱を帯びた議会交渉では、米国政府の債務上限引上げに伴う財政政策を巡って与野党間で激しく意見が対立しました。特に、共和党、民主党、という2局対立だけでなく、小さな政府を強く求めるティーパーティーの見解も加わり、利害調整は相当困難を極めました。

週末は、議会中継番組を見て過ごしましたが、全く妥協の余地のない激しい対立ぶりは、見ていて不安が募るものでした。

週明けの市場取引開始を控えたぎりぎりのタイミングで妥協成立の見込みが立ちました。そして今日2日、米国政府の債務上限引き上げ法案が上下院で共に可決、大統領の署名を経て債務上限が最低約168兆円(2兆1000億ドル)引き上げられることが決まりました。この法案では、今後10年間に財政赤字を約72兆円(9000億ドル)を削減、さらに超党派委員会で、その倍弱の最大1兆5000億ドルの債務削減上積み策を検討することになっています。

思想や見解が大きく異なり、議会上下院でのねじれ状況があっても、国家のために解決するべきことは最終的に妥協策を編み出すという米国政治家の大局観ある動き、これはあたりまえとはいえ、今までの激しい議論対立から考えると、妥協案ができたこと自体不思議なくらいです。

震災後の日本をどう作るのか、とても重要な時期に、すでに辞任を表明した首相が居座り、その与党幹部でさえ早期辞任を促すこともできず、さらに答弁中に泣き出す主要閣僚まで出るというお粗末な日本の政治状況には、全く「大局観」がなく、世界にも恥ずかしい異常な状況です。

今回の債務上限引き上げに関して、政治交渉の最終局面における米国政治家のせめぎあいを見ていて考えさせられたこと、それは「議席数の差や政治思想の対立も乗り越えて大局観に立って政治を運営していくという責任感ある行動」の重要性です。

日本の政治家も「大局観に立ち責任感ある政治」をする自覚を早く持つべきではないでしょうか。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


Copyright (c) 1999-2025Tokyo IPO. All rights Reserved.