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S&Pによる米国債の格下げニュースを契機とした市場のパニックはやや落ちついたものの、今日も米国の株式市場はNYダウで76.97ドル下げ11,405.93ドルと乱高下を繰り返しています。日本ではお盆休みというのにマーケット混乱のおかげで結局夏休み返上となってしまい、夏痩せか体重は一気に5キロ減、こんな市場性のダイエット効果?は個人的にはもうこりごりです。
米国債の格下げについてはおもしろい、ある意味政治的な動きとなっています。
格下げされたにもかかわらず、結局、米国債には買いが集まって価格は上昇(すなわち金利は下落)し、10年債の金利は2.2%、30年債は3.6%と、長期金利は大きく下げています。
格付け機関の対応も分かれました。格下げを実行したS&Pに対して、他の大手格付会社であるムーディーズやフィッチは、格下げは行わず最高格付を引き続き付与することを発表しました。また、SECがS&Pによる格下げ発表の際の社内情報管理体制について調査を行うことも報道されています。
恐怖指数と言われるVIXインデックスはまだ30以上と、マーケットのボラティリティーは依然高いままですが、市場の乱高下をこなした後となった今見えてきたこと、それは、米国債の一部格付会社による格下げは、直ちに米国の終焉を意味するものではないということです。
当たり前のことだと思われるかもしれませんが、格下げショックが市場を襲った時、市場関係者は、そのような見方は直ちにできず、パニック的行動につながっていました。
そこで、今後、米国が債務者として、その国債の返済能力に疑いが生じないようにどうすれば良いのかが問題となってきます。前回も、現状打開のための早期治療が必要なことはここで書きましたが、目先、何をすべきなのか?
今、共和党では、大統領選の候補者選出に際して候補者間で色々な政策論が戦わされています。先日の政府の債務上限引き上げ論議の中でも盛んに取り上げられた論点、それは、富裕者層に対する税率の引き上げの是非の問題です。折から、有名なプロ投資家であるウォーレン・バフェット氏は、「アメリカの富裕者は、億万長者を優遇する政策に長期間あまやかされすぎてきた」と明言、年収が7,800万円(100万ドル)を超える富裕層に対し、早期に増税し同氏のような超富裕層も犠牲を払ってしかるべきだ、と指摘しました。
マサチューセッツ工科大学のダロン・アセモグル氏は、今後20年間で成長率が年率1%上がれば、所得や税収が大幅に増加して、債務問題は解決するという見方をしています(Bloombergニュース)。これに富裕者の税率改善による税収増があれば、中期的にも財政問題は心配いらないということにもなるでしょう。
しかし、富裕者はその金の力をベースに増税阻止に向けて様々な政治的ロビー活動を展開すると見られ、富裕者層の増税問題はそう簡単に決着しないでしょう。総資産約4兆円とも言われるウォーレン・バフェット氏に何を言われても、それ以下の米国の富裕者の心には全く響かないかもしれません。夏休み返上で働く日本のサラリーマンとしては忸怩たる思いですが。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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