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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2011年10月12日(水)
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10月の第二週も世界の市場は混乱したままです。米国の株式市場は、今日は11,416.30ドルで取引を終え、まずまずの水準を維持していますが、いつ大きく下げてもおかしくありません。恐怖指数といわれるボラティリティーも30を超え、不安定な状況です。

日本でも報道されているとおり、資本主義の象徴ともいえるニューヨークのウォール・ストリートが抗議の標的となり、大規模デモが繰り返されています。ブルックリン橋占拠の時には700人以上が逮捕されるという事態になりましたがその後静まる気配はなく、逆にソーシャルネットワークを通じて共感が広がりつつあります。NYのブルームバーグ市長は法律違反がない限り容認する姿勢を発表、日々寒くなるNYでいつまで占拠行動が続くのか注目されています。

折から、オバマ大統領は約35兆円規模(4,470億ドル)の雇用対策法案の承認を議会に求めており、ウォール・ストリート占拠を米経済低迷下に同法案が必要だとする大統領の考え方の後ろ盾にしようとする意図もうかがわれます。

ただ「占拠」といっても、バリケードを張って何かの施設を乗っ取っているわけではなく、NYでは、リバティースクエアなどにPCを膝に人々がたむろし、時折、ゴールドマンサックスのビルなどをターゲットにしてデモを繰り広げるという運動展開で、過激さを帯びた状況ではありません。一見、「こんな大変な時は、スローライフで行こう。でも、とにかく金融機関トップなど金持ちの優遇はごめんだ」というメッセージを共有する人々の集まりという様相です。ピザ、サンドイッチ、果物などは運動支持者からの差し入れで「食べ放題」と、昔、労働運動で「占拠」といえば「ハンガーストライキ」(もう死語かも)だったのとは全く異なる様相です。

さて、ひさしぶりに、オバマ大統領の支持団体で、全米で約210万人が加盟する「サービス従業員国際労組(SEIU)」のウエブページをのぞいて見ました。

そのトップページには、「SEIUはウォール・ストリート占拠の運動を全面的に支持する」とのメッセージが。「失業問題が解決しない米国の現状ではこのような運動が起こるのは当然で、今こそ、大統領の雇用法案を実現しよう」とのトップ意見のあとに、大統領の政策への同意と占拠運動とのさらなる連帯を求めています。

つまり、占拠運動が「反体制運動」とはならず危険に見えない背景は、ここにあります。もっとも、当然ながら共和党は「ウォール街や大銀行を責めるべきではない。職がない自分を責めるべき」(ケイン氏)など、占拠に批判的な立場で、運動者の矛先は共和党に向いています。

しかし、ここに来て、少しずつ不安な兆候が出ています。NYでの占拠活動がボストン、ワシントン、そして西海岸はLAやシアトルなど、全米に広がるにつれて、その活動内容がNYとは異なる過激な方向に派生し、いわゆる社会的不満を爆発させる場へと変容する可能性があるという懸念です。テロ活動などあらゆる事態への対応に慣れているNY警察とは違い、他の都市では、不慮の大きな衝突が起こる懸念も高まっています。

今後、いわば「占拠運動2.0」として占拠運動が自己増殖を続けて混乱し「階級闘争」的様相を呈して社会不安に直結する、そんなリスクが高まらないよう祈りたいところです。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


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