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世界の市場の混乱は続いています。乱高下を繰り返しながらも、米国の株式市場は11,577.05ドルと、先週よりも高い水準で取引を終え、よく堪えているなという気がします。取引の終盤に、ドイツとフランスが欧州救済基金の規模を大幅に拡大するとの報道があり反発したことが大きい要因ですが、ボラティリティー指数も30を超え、不安定な状況は変わっていません。
ここは、カージナルスが勝つかレンジャーズが去年の雪辱を晴らして頂点に立つか(上原には活躍して欲しいものです)、ワールド・シリーズでも見てしばらくは休んでいたいところです。
先週、このコラムで心配したとおり、「ウォール・ストリート占拠」運動は、まさに「占拠運動2.0」として、世界中で過激さを増し始めました。NYでも、マンハッタン・ミッドタウンのタイムズ・スクエアまでデモ隊が歩を進め、NY警察は相当警戒レベルを高めています。
今や、「99%の声を聴け」とも叫ぶようになったこの運動、失業率の高さもあって、なかなか鎮まりそうにありません。英国の新聞、ガーディアン紙のコラムでは、タイムズ・スクエアでの警察とデモ隊との対立を評して、「資本主義という名の裸の王様が、醜い醜態をさらしているようだ。ベルリンの壁崩壊以降、資本主義礼賛があたりまえという今までの潮目が変わりつつあるという、歴史的瞬間ではないか」などと、ややおおげさにコメントしています。
「資本主義の終わりの始まり」なのかどうかという大仰な視点はさておくとしても、失業率が高いままの米国では、人々の不満は相当募っています。前回も書きましたが、その不満を代弁するかのように、オバマ大統領の支持団体である労組の上位団体も「占拠運動」を支援しており、階級闘争的に展開することをバックップしていることを考えると、なかなか収束への道筋は見えません。このような雰囲気が蔓延しているのは、景気にはマイナスにしか作用せず、当面、世界的な「構造的格差問題」はやっかいな不安材料として根を広げそうで頭が痛いところです。
さて、今日は、「ウォール・ストリート占拠」運動家がターゲットにしているゴールドマンサックスの決算発表がありました。2011年7〜9月期決算は、300億円もの純損失(3億9300万ドル)と、金融危機時の2008年9−11月期以来約3年ぶりの赤字となりました。デモ隊は、この発表に溜飲が降りたかも知れませんが、ゴールドマンが稼ぎの場としているマーケットがそれだけ不調だということの表われだと言えます。
今日あった決算発表でもう一つ目をひいたのは、高級ブランド品最大手、フランスのルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー(LVMH)の決算です。1−9月期の売上は、現地通貨ベースで、欧州で7%、アジアで27%も増え、米国(除くハワイ)でも18%増加したと発表されました。この期間、震災の影響もあって日本の売上は3%落ちたものの最近は回復基調にあるとのことで、今後の業績には自信を持っているとの内容でした。
ウォール・ストリートを占拠しているデモ隊の参加者にも、ヴィトンのバッグを持っている者が見かけられるとのテレビ記者のコメントもありましたが、贅沢品を売る会社の好決算と、「99%の者である我々を救え」と叫ぶ人が溢れているタイムズ・スクエアの光景は、あまり良い構図ではなく嫌な不安を覚えます。欧州問題の抜本的打ち手が見えるまでは不安材料は根強く、当面「休むも相場」の姿勢をとるのが正解かもしれません。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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