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世界の市場の混乱は鎮まりません。ボラティリティー指数が乱高下を繰り返していることが示しているように不安定な状況が続いています。ハロウインが終わったというのに、またぞろギリシャ問題というゾンビが頭をもたげ、そこに米国の大手金融会社MFグローバルの破綻が重なり、米国の株式市場は11,657.96ドルと、300ドル近い下げで取引を終えました。
ここ最近は、荒れている市場から離れ、カージナルスが勝つか、レンジャーズが2度目の挑戦で頂点に立つか、ワールド・シリーズを見て楽しんでいました。結果は、ご存知のとおり、第六戦でレンジャーズが優勝に王手をかける局面が2度もあったにもかかわらず、栄冠を手にすることができず、カージナルスが神業的に優勝を果たしました。
セントルイスのブッシュスタジアムは、神がかり的で不思議なボールパークです。
カージナルスの前回2006年のワールド・シリーズ優勝時には、田口壮選手(元オリックス)がいました。監督は今と同じトニー・ラルーサ。同年のプレーオフでニューヨーク・メッツとの第二戦、非力な田口が最終回にビリーワグナーから決勝点本塁打を打ちました。今回の第六戦では、これを思い出し、最後までわからないと思っていましたが、まさに驚愕の展開となりました。監督、そして主力選手のアルバート・プホルス(第三戦で3打席連続ホームランのこれも神業)ともに敬虔なクリスチャンですが、まさに神様がカージナルスに微笑んだということでしょうか。
さて、今回のカージナルスの逆転劇には、米国人の特質の一つ「立ち直る力(Resilience)」が表われています。リーマン・ショック以降奈落の底に落ちた米国経済が、ここまで回復してきたのも、この力の賜物だったといえます。失業率が思うように回復せず順風満帆ではありませんが、日本の超長期不況と比べると「立ち直る力(レジリアンス)」の違いを感じざるを得ません。
この背後には連邦準備制度理事会(FRB)の力強い政策が後ろ盾になっています。対して、日銀の「遅すぎて、小さすぎる」流動性供給の姿勢は、日本経済回復の支えとならないばかりか、円高傾向を後押しするという悲惨な状況を引き起こしています。しかも、今日も批判の矢を浴びていましたが、他国と協調しないままの単独介入は効果もむなしく長続きしないでしょう。
レジリアンスの源は何か、それは、米国人気質のもう一つの特色である「尊厳(Dignity)」だと思います。ベースボールのゲーム前には国歌を、7回(風船を飛ばす日本とは違って)には第二の国歌とも言われる「ゴッドブレスアメリカ」を斉唱します。これらの曲によって確認されるもの、それは、米国民としての「尊厳」です。この、自らと国家への「尊厳」に基づいて行う行動(野球ではプレー、政治では政策)、それが立ち直る力の強さを生むのでしょう。
これ以上円高のダメージが大きくならないよう、日銀には国家への「尊厳」に基づいた確固たる行動を期待したいものです。
ところで、負けて失意にまみれたレンジャーズのプレーヤーは、夜中の3時にダラスの空港で出迎えたファンに、丁寧に一人ひとり握手していました。これも、やはり、プレーヤーとしての「尊厳」からくる自然な行動でしょう。(対して、日本人選手はさっさとバスに乗ってしまったようですが)。来年は優勝して、「レジリアンス」を見せてくれるでしょうか。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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