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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2011年11月9日(水)
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波乱続きのマーケット、世界市場の乱高下は収まりません。ニュヨーク市場は連日上げ下げを繰り返して、とても不安定な状況が続いています。相場とは打って変わって今日のマンハッタンはとても良い秋日和。午後、ランチのあとイーストリバー・ウオークを散歩、しばし気分転換をして秋の晴天を楽しみました。

そんな清々しい昼休みも束の間、ギリシャ問題の次はイタリアの政治混乱が話題として流れ、市場はどうなるかと思いましたが、結局、米国の株式市場はダウが前日終値より101.79ドル高い、12,170.18ドルで取引を終えました。この「どうなるかと思いましたが」というのが、いわゆるボラティリティーというわけで、あいかわらず異常な状況の証左だといえます。

さて、日本だけではなく世界の市場でオリンパス問題が話題になっています。今や過去の死語ともなった「財テク時代」、あの頃からの損失処理を不透明な形で長く引きずっていたという報道が事実であれば、実に驚きです。今日のランチでは、私はこの話題で質問攻めにあいました。社内外のチェック機能は、どうなっていたのか、日本には、ガバナンスという言葉はないのか、巨額の手数料支払いが看過されてきたというのは、信じられないなどと。正直、日本のマーケット人の一人としてはとても恥ずかしく、そういうわけで、気分転換に散歩せずにはいられませんでした。別に、個人的にこの会社に関連して損失を被ったわけではありませんが、世界的に高度な医療技術で有名な日本企業がこんな体たらくだったことが明らかになって、とても残念です。

巨額の隠蔽が長く罷り通ってきた背後には、それに関与(悪事を幇助する意図の有無は別として)してきた関係者の存在があり、今後、その関係の適否が厳しく問われることになるでしょう。プロ投資家の間では、オリンパスの買収関連の常軌を逸した事実情報は周知の状況で「やはり」という感はあります。しかし今後、過去の経営陣、監査役、監査法人、そして取引証券会社と、どこまで連座するのか、その悪質さの程度によっては、日本の経営システムの信頼が、世界的に大きく揺らぎかねない問題です。

この本質的問題、それは、「ガバナンス」です。

この言葉は、最近聞き慣れた言葉になりましたが、日本人には、腹落ちするほど本当の意味はなかなかわかりません。

ガバナンスとは、統治するという意味ですが、それではなかなか本当の意味は見えてきません。親分的に治めれば、ガバナンスができるわけではありません。この語感でとらえると、統治される側は親分のためには善悪を問わずそれに従うということにもなりかねません。本来の語源は、「舵を取る」という意味で、正しい方向に舵をきる責任感が伴った統治こそが、あるべきガバナンスです。

宗教的例えになりますが、旧約聖書、創世記の第一章には、神がこの世を創られた後、「治める」という概念がでてきます。26節に、神はまた言われた。「われわれのかたちに、われわれにかたどって人を造り、これに海の魚と、空の鳥と、家畜と、地のすべての獣と、地のすべての這うものとを治めさせよう」と。

本来、ガバナンスとは、神の創造の恵みを受けて、人として正しく「治めていく」という、神から預けられた重みのある行為であるという、そんな認識がキリスト教に日常生活で触れているこちらの人々にはあるように思います。

欧米でも、ガバナンスが問われる経済事件は少なくありませんが、今回のオリンパスの事件は、日本の経済人としてガバナンスのあり方を大きく問いかけるきっかけになったと言えるでしょう。大企業だけでなく、中小零細の規模を問わず同族企業の多い日本では、根本的に「治める」という概念を今一度しっかりと考えるべきかもしれません。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/

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