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2011年11月、このコラムも111回目となりました。マーケットは相変わらずの乱高下ぶり、欧州懸念が材料になって市場が浮かばないという基調は変わっていないばかりか、欧州内で恐怖の連鎖先が拡大、イタリア、スペインだけではなくハンガリーまで巻き込んで、ますます泥沼化してきました。このように重苦しい空気の中、NYの株式市場はダウが続落、今日も236.17ドルも下げ低調に推移しています。VIX指数も30を上回って、恐怖のまっただ中です。
こんなことを私はパソコンに向かって書き込んでいますが、周りの連中の多くはサンクスギビングで、早くも半ドンで帰ってしまい、こんな中で今日の市場の下げにとらわれていても仕方がないという気もします。というわけで今日は閑話休題、「アメリカのベースボール」から見た柔らかい話題にしたいと思います。
前回は「ガバナンスについて考える」と題して書きましたが、この間、ジャイアンツの清武ゼネラルマネジャーが、この「ガバナンス」そして「コンプライアンス」という言葉を使って、記者会見を行いました。ここで、その内容の是非は別として、ふと頭をよぎったのは、「日本のゼネラルマネジャー(GM)は何だ」ということです。(解任前の)同氏の肩書きは、「球団代表兼ゼネラルマネジャー」でしたが、「球団代表」と「GM」の違いは何でしょうか。
「ゼネラル」は「すべからく全般的に」で、「マネジャー」は「管理」するということで、両方あわせると、「すべからく、管理する(できる)人」ということになります。
ベースボールのGMは、「野球に関する知識、技術、人脈、のほか、他球団を含む選手情報、スカウト人脈、プロの卵の情報、そして、フロント幹部と意思疎通できる基本的経営知識を幅広く備え、駆使し、人心を掌握して、躍動的にチームのためにすべからく管理活動をする人」とでも定義されるべきもので、このように、とても多くの能力が要求されます。
これだけの能力を真に身につけた人は、プロのGMとして、他チームにも渡り成長の階段を駆け上っていくことになります。まず、若さなくしては勤まりません。昨年に続きワールドシリーズに挑んだテキサス・レンジャーズのGMのダニエル氏は34歳です。若さを武器に猛烈な選手情報収集活動を展開、今年もチームの局面に応じ、上原のトレード獲得など機動的に動きました。猛烈にチーム戦力の調整と向上に奔走したからか、あるいは早くも来期構想を考えていたのか、ワールドシリーズの敗戦後選手が去ったダグアウトに長時間座っていた姿は印象的でした。
日本では、球団代表は親会社からの天下りであることが多く、先に書いたような能力要件を備えていることはまず無理です。その点、やはり「代表」であって「GM」ではあり得ません。
今、日米では、「マネーボール」という映画が上映されています。
ブラッドピットは主人公、オークランド・アスレチックスのビーンGMを演じています。ビーンGMの就任は35歳、それまでにスタンフォード大学に入る頭脳(進学を選択せずプロ入団)、選手経験、そしてGM補佐の経験と、若い間にGMとしての深い素養を身につけています。GMとしての活躍ぶりは映画を見ていただくとして、まずは、GMの役割が明確に日本のそれとは違うことに気づきます。(なお、この映画は、勝利重視のチーム編成についての議論、という観点からも楽しめます。)
さて、会社の役職でGMというと、日本語訳は普通「部長」で、とても重要な役職です。ベースボールのGMを意識してあらためて考えてみると、勢いを持って元気に成長していく会社とは、部長が、その経験、知識、人脈、人格、そして精神的若さを全力で駆使してマネジメントしている会社だと言えるのではないでしょうか。
日本企業の管理職の老化(実年齢ではなく、ゼネラルな管理活動を遂行する元気度という意味で)していることが、日本企業の低迷につながっているのではないか、この秋のメジャーリーグのワールドシリーズの活気とGMの躍動ぶりを見ながら、ふと、そんなことを思いました。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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