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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2011年12月7日(水)
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今週の米国株式マーケットは重石が急に取れたかのように上げています。ダウ平均は、前日終値比52.30ドル高い、12,150.13ドルで取引を終えました。今週末に、欧州連合(EU)首脳会議などを控えて欧州債務問題が解決に向け前進するのではないかとの期待感から堅調に推移しているようですが、まだまだ安心するには程遠い状況です。

恐怖指数は30を切り(28.13)、多少、ボラティリティーは鎮まり上げ相場を支えています。

米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がユーロ圏15カ国の長期債格付けを引き下げ方向で見直すと前日に発表、また、欧州金融安定化基金(EFSF)の長期格付けについても、「AAA」を引き下げ方向で見直し、「クレジットウォッチ・ネガティブ」とすることを公表するなど、欧州問題の火種は消えません。

ということで全く安心できない状況が続いています。

さて、「ボラティリティー」(変動率、変動性)の悩みは、市場だけではありません。

先日、ニューヨークで先日開かれていた日米財界人会議での議論を覘いてみました。野田首相が協議を開始すると言った「TPP」についての議論など、様々な論戦が繰り広げられていましたが、なかでも、おもしろかったのは、背景にある世界認識としての、次のような見方です。

景気回復が思わしくなく政党間の利害対立も激しく大統領の信任も低下している米国、EUという制度そのものの信頼が低下している欧州、震災・津波と原発問題に揺れる日本、急速な景気減速に見舞われている新興諸国など、どの国も世界のリーダーとして影響力を発揮できる状況にはないこと。また、国際機関もそれに変わって指導力を発揮できるという立場ではないこと。

このようにリーダー不在で、しかも、世界環境の変動性(ボラティリティー)は非常に高い、という状況で、各国は、どう行動するべきなのか。

そこでのキーワードは、前回もテーマにした「アジリティー」です。「受容性、変容性」とでも言いましょうか。色々な国、地域と多様な関係を受容し、それぞれを緊密化して、自国、自国経済のポジショニングを上げていく、そんな動きが必要になっていくという見識を聞きました。

市場で投資を行う際も、ボラティリティーが高い場合には、いわゆる「ヘッジ」を効果的に活用して収益を確保しようとします。これを国家関係への行動に応用するならば、例えば、米国は中国との関係が悪化した場合に備えて、アジア域内のその他の国々との関係も多様化かつ強化し、これを効果的なヘッジ手段とすることを目論むなど、ヘッジ行動をとるということになります。

日本がTPPを導入する際には、いろいろな痛みが伴うことは事実です。しかし、米国や日本の各企業はグローバルに活動することによってしかその存在意義はなく、これは避けて通れない通商ツールでしょう。しかし、TPPだけではなく実はそれを梃子に他にどのような多面的な通商関係も構築するかという戦略的行動も、スピード感を持って展開する必要があります。日米ともに、「アジリティー」(適切な受容性)あるアクションが必要となるのではないでしょうか。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/

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