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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2012年3月21日(水)
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出張で前回のコラムをお休みさせていただきましたが、その間乱高下はありながらも、久しぶりに13,000ドル(ダウ)を超えたニューヨーク株式市場は、依然その水準を維持しています。ギリシャ問題の着地までの過程で、不安な局面も多かったのをこなしながらこの水準で維持しており、今の市場が強い地合いにあることを示しています。

恐怖指数(VIX)も15近辺で落ち着いており、平穏さの証となっています。

さて、IPAD3を発表したアップルの株価の勢いは止まらず、47兆円という時価総額にまでなっています。今日になって、新IPADはダウンロード中に高温になるなどの調査ニュースが流れていますが、会社側も「想定温度仕様の範囲内」と発表、すばやく対応ぶりを示しています。

アップルといえば、スティーブ・ジョブズ氏が牽引したことは有名ですが、同氏の死逝以降も、ここまで成長しているということで安心した株主からの買いも入っているのかもしれません。

IPODに始まり、IPADやI TOUCHなど、同社の製品は全世界中に親しまれていますが、この成功の後ろ盾となっているものは何でしょうか。技術的には、液晶画面、モデムにメモリーなど、日本のITメーカーで作れるような製品であることは、間違いありません。

それが、なぜ、ここまで爆発したのか?

それは、マーケティング力ではないでしょうか。

おりしも今年は、日本の電機メーカーの多くが巨額赤字を計上しました。アップルとの差を決定付けたもの、それは広義のマーケティング能力ではないかと思うのです。売れ筋となる商品をデザインし、必要とされる機能を備え、過度な機能はそぎ落としていわゆる引き算の設計思想を徹底、そして、コンテンツやソフトウエアのプラットフォームで課金収入を得る仕組みをつくる。この一連の仕掛けが、強いキャッシュをうみ出しています。

なぜ、日本メーカーがこんな強みを作ることができなかったのか。

2000年始めに発売されたシャープのコンパクト型ザウルスは、カラー液晶でI TOUCHとほぼ同様の機能を備えていました。リナックスで起動時間をなくし、外部ソフト業者がコンテンツを作りやすい環境を公開、そして、電子書籍を販売するプラットフォームまで備えていました。ビデオ機能もあり、商品の形状、機能が遜色なかったのに、なぜ、爆発的にヒットしなかったのか。

先日、シャープのトップ交代で述べられていたコメントが印象に残りました。「マーケティング弱い」と。トップの言葉ですから、おそらく事実でしょう。とても、惜しいことです。グローバル化がここまで進んでしまった今、良いものを作ることが得意な日本人が、自らの弱点であるグローバル・マーケティングまで背負う必要はないのかも知れません。

日本が競争力を回復させるためには、本社は開発と製造に徹し、マーケティング戦略の立案と実行は、日本以外の優れた拠点のスタッフに全面的に任す。強みをそれぞれ組み合わせたグローバルチームを作って、日本人だけで全て担うよりも、勝率、成功率を上げていく、そのようなグローバルなチーム力が、今、必要なのかもしれません。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/

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