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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2012年5月9日(水)
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出張とゴールデンウイーク休みが続き2週間コラムをお休みさせて頂きましたが、いかがお過ごしでしたか。私はハワイ、マウイ島の会議に参加して、つかの間の息抜きをしたつもりでしたが、このところの世界情勢の混迷ぶりに蓄積した疲労はなかなか抜けず、あまり気分は冴えません。

今日の米国株式市場は、フランスの選挙結果やギリシャの政局混迷などを背景に、欧州債務問題の懸念が再び高まって、ダウは一時、前日終値比198ドル安くなる局面までありました。結局、ダウの終値は76.44ドル安の12,932.09ドルと、5日続落となりました。

週末の総選挙で連立与党が大敗したギリシャでは、新たな連立協議が難航し6月にも再選挙が行われる可能性が高くなるなど、何度も繰り返される混迷は困りものです。しかし、依然、ダウは13,000ドル近辺の水準にあり、ここまで上げてきたマーケットの状況を考えると、ここはいったん手仕舞って利益を固める動きが出てくると見られ、しばらくは軟調な市場が続きそうです。相場は上げ下げするものとは分かってはいながらも、世界情勢が混迷の色を深めつつある状況には不安を禁じえません。

さて、先日、4月の米雇用統計が発表されました。非農業部門就業者数は115,000人増にとどまり、3ヶ月連続で増加幅が縮小しました。この状況では、失業率の安定的改善に必要なペースである月20万人増との乖離は大きく、米国の雇用回復の勢いは、失速しつつあることがわかりました。失業率は8,1%に低下したものの、これは、342,000人もの労働者が雇用を諦めたことによる統計上のマジックでしかなく、全く評価できるものではありません。

このような「雇用の大きな改善にはつながらない緩やかな景気回復基調」では、当面2014年終盤まで、FRB(米連邦準備制度理事会)は、金融政策を当面変更せず、事実上のゼロ金利政策を継続する方針を遵守するものと見られます。

欧州や日本に比べれば、なんとか成長軌道にある米国はいいのではないか、と良く聞かれます。しかし、こちらでは、そのような「元気なアメリカ」という気配は全く感じられず、失業率回復の緩慢さに象徴されるような不安が高い状況というのが実態です。

共和党の予備選挙の結果、大統領選挙は、オバマ大統領対、共和党のロムニー候補という争いで決まりましたが、これもなかなかの混迷の図式です。なぜなら、労働組合などに支持母体を持つオバマ氏と、その経歴から「米国の1%クラブのさらにトップ層メンバー」と言われる超富裕層であるロムニー氏との争いでは、社会的争点があまりにも違いすぎるということからです。

日々の生活の苦しみと闘っている中間層の代弁者、そんな民意を汲み取ってくれるリーダーではない両候補。この状況では、自然に選挙戦が盛り上がっていくという気配はなく、まるで、オバマ大統領の信任投票の雰囲気さえ漂っています。

私の米人の友人が新婚生活を始めました。奥さんは先生、友は、週4日は昼間の仕事、週末は空港で終夜の警備業務に就き、生計を立てています。その彼がつぶやいていました。「いつになれば、明るい未来が見えてくるのか、大統領が何かしてくれるわけでもないし」と。

所得格差が広がりいわゆるミドルクラスがアメリカンドリームを実現できなくなり、さらに世界情勢の混迷が閉塞感を加えている現実。ここは、真のリーダーシップが期待されるところです。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


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