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米国事情NOW〜金融、経済、そして政治。米国は今〜
2012年5月16日(水)
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ゴールデンウイーク明け以降、マーケットを見ていて全く楽しくない日々が続いています。今日も米国株式は、ギリシャの政局混迷を理由に続落しました。ダウ平均は63.35ドル安くなって、12,632.00ドルと、1月19日以来、約4ヶ月ぶりの安値圏となりました。

ギリシャで再選挙が行なわれることとなりましたが、どうなるのでしょうか。その後のシナリオは、悪い絵ばかりが描かれ、緊縮策放棄、ユーロ圏の金融支援停止、ユーロ離脱など、最悪の事態の連鎖懸念が高まっています。さらに次は、ポルトガルやスペインはどうなるのかと、ネガティブな連想ゲームはいきつくところを知らず、市場は、リスクオフでフリーズ状態です。

原油価格も値を下げ、資源国の市場もつるべ落としとなっています。

さらに冷や水を浴びせかけた悪材料、JPモルガンチェースの20億ドル(1,600億円)もの損失発表ニュースです。超巨大銀行の宿命、集まってくる預金全てを、ローンなどの投融資運用にまわせるわけではありません。ダイモンCEOの電話会議での説明によると、この種の「余剰資金」を一括運用していた部門で、損失が発生したとのことでした。

Bloomberg報道によると、その運用金額は約3600億ドルの規模だったようで、余剰資金集約運用部門の管理資産規模が約29兆円!!とは、驚きです。

3600億ドルもの巨額の資金が原資であれば、0.55%の損失率で20億ドルになってしまいます。もちろん余資運用ですから、本来、損失リスクを負うべきではなかったわけで、まさにその点が問題視されています。「銀行が収益目的で不用意にリスクを取っている」とばかり、ボルカールール推進強化の口実として集中砲火を浴びています。

金融規制論議は別として、この問題の根幹は、「投融資に回っていない巨額の余剰資金」の存在です。金融機関のそもそもの機能として、集まった「預金」が「貸金」として投融資に回せない、これは問題です。信用創造の機能が滞り、乗数効果を及ぼせないというのは、国民経済における大きな問題です。

一般事業部門でも、同じようなことが起こっています。

金融危機以降、デレバレッジを求められる中で、各企業は、バランスシート改善のために借入金の返済を進めてきました。また、実際の景気回復がとても緩慢なため、利益蓄積などによってキャッシュは、企業の余剰資金として相当積み上がり、銀行に還流しています。企業部門では、前向きな設備投資や会社買収の資金需要も乏しく、事業として有効活用されていません。

このマーケットでは、IPOによって大きな余剰資金を抱えるケースはまれですが、1兆2000億円規模のIPOとして注目を浴びているフェイスブックも、ファイナンスした資金をどのように有効活用するのか、企業買収も難しく、当面、資金余剰となるでしょう。

ポスト金融危機社会の課題、それは、「余剰資金の有効循環」です。「溢れているところから、必要なところへの還流」、企業の人材投資などによる雇用の促進など、このような前向き効果が広く及ぶ解決策なしに景気浮揚の加速化はないでしょう。「資金循環」、大きな問題です。


筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


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