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マーケットはあいかわらずの乱高下が続き、今日のダウ平均は162.57ドル高い12,573.80ドルとなりました。出張続きでこのコラムを前回お休みさせてもらいましたが、この間、先週月曜日の12,101.50ドルを底に、株式市場は5月末の水準近辺に戻ってきたことになります。しかし、欧州問題が解決しない中、依然リスクオフの状況は続いていると見るべき状況です。
さて、昨日は、米連邦準備制度理事会(FRB)から消費者財務調査の結果が発表されました。
この発表によると、米家計の純資産(中央値)は、2007年から2010年の3年間で38.8%も目減りしたことがわかりました。バブルが崩壊した以降も回復をみせない住宅市場、これによる住宅価格の下落や、さえない株価水準が響いているようです。
フローの面でも、実質所得は7.7%もの減少。このコラムでも何度も指摘してきたとおり、全く改善しない消費者の懐事情には、厳しいものがあります。
この調査は3年ごとに実施されており、前回調査の2007年には、資産総額から負債総額を差し引いたいわゆる家計のネット資産は、中央値で12万6,400ドルだったのに対し、2010年には7万7,300ドルに減ったとのことです。
80円のレートでみてみると、家計の純資産は2007年の1, 011万円から618万円に減ったということで、これは大きな減少です。
また、純資産の平均値は、2007年の58万4,600ドルから2010年には49万8,800ドルとなり、14.7%も減少しています。また、家計の実質所得については、2007年の49,600ドルから2010年には、45,800ドルに減少したとのことでした。
このレベルは、1992年の水準にほぼ等しい、ということです。つまり、米国人の資産状況は、この20年間全く変わりなく、まさに「失った20年間」だったともいえ、2007年からのサブプライム不況は米国の資産状況に大きな打撃を与えたことが、明らかとなりました。
資産が縮めば、当然、消費行動に大きな影響を及ぼします。保有資産の価値減少状況が続けば、大きな買い物をするといった消費行動を持続することは不可能です。 この悪循環は、日本人としてもデフレ・スパイラルとして経験したところで、なかなか抜け出られない罠です。
米国も懸念すべき悪循環に嵌り始めているようです。また、今年は大統領選挙の年。選挙結果によって、税制など、どんな制度変更があるのかわからないというリスクを考えると、投資などには踏み切る企業も少なく、投資を活性化することが難しい状況になっています。
先週ブラジルに行っていましたが、そこで痛感したこと、それは、景気が大きくスローダウンしているということでした。欧州問題に端を発した景気後退は、世界経済の中で活発な歯車であった新興国にも影を落としています。今までの経済成長が高かっただけに、経済成長率の低下局面では、急にエンジンブレーキをかけたかのように減速感が増し、先行きに怖さを禁じえません。
「失われた20年」− 資産価値劣化の重みを感じている米国経済の先行きには十分注視すべきところでしょう。日本のように状況が悪化しないようFRBの適切な行動が期待される局面です。
筆者ブログ「アメリカは今」 http://ameblo.jp/god-bless-market/
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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